前田吟 / 前田信明
前田吟(まえだ ぎん)とは、日本の俳優である。本名および旧芸名は前田信明(まえだ のぶあき)。山口県防府市出身。1944年〈昭和19年〉2月21日生まれ。次男は俳優の前田淳、四男は競技ダンス選手の前田亨。
父親は同盟通信(現:共同通信)山口支局の記者、母親はタイピストであったが、1945年8月6日の広島市への原爆投下により父親が消息を絶つ。乳呑み児を抱えて路頭に迷った母親により、生後100日で子どものいない前田家へ養子に出された。4歳で養母、12歳で養父を亡くした後は親戚筋をたらい回しにされ、過酷な少年期を過ごす。その後は防府天満宮近くにある親類の家で暮らし、野球や剣道に親しんだ。中学は地元の進学校へ進み、1959年に山口県立防府高等学校へ進学するが、実母の再婚に伴い学資の送金が途絶えたため1年で中退を余儀なくされた。
1963年4月、劇団俳優座養成所に15期生として入所。同期には地井武男、原田芳雄、夏八木勲、小野武彦、村井国夫、林隆三、高橋長英、秋野太作、浜畑賢吉、竜崎勝、栗原小巻、太地喜和子、赤座美代子、三田和代ら、後に芸能界を牽引する錚々たる顔ぶれが揃う「花の15期」の一人であった。1964年、NET系のドラマ『判決』第1シリーズ・第105話「沖縄の子」に本名の前田信明名義で出演し芸能活動を開始。翌1965年には朝日放送の『純愛物語』で主役を務め、同年の小林正樹監督映画『怪談』の端役で映画初出演を果たす。1967年より「前田吟」へと改名した。
1969年、山田洋次監督の映画『男はつらいよ』において、主人公・車寅次郎の妹であるさくらに惚れる印刷工の諏訪博役に抜擢される。この実直な役柄が前田自身の誠実な人柄と合致し、さくらと結婚して夫となった博役として、以後シリーズ全50作のすべてに出演を続けた。
1970年代からは橋田壽賀子・石井ふく子関連のテレビドラマ作品へ多数起用され、1976年のNHKドラマ『となりの芝生』ではマザコンかつモラハラ気質の夫役を怪演。特に1980年放送のTBS系ドラマ『心』での宮寺順一役は、前田のドラマにおける代表作となった。また、大映ドラマへの起用も多く、1976年のTBS系ドラマ『赤い運命』では、それまでの善人イメージを覆す強烈なしぶとい悪役を演じきり、お茶の間に大きなインパクトを与えた。
2000年代以降は俳優業に留まらずマルチに活動し、2002年4月1日から9月27日までの半年間はテレビ朝日系の情報番組『スーパーモーニング』の司会を担当。歌手としてもこれまでにシングルレコード3枚、シングルCD1枚をリリースしている。2019年5月16日からは、テレビ東京系のクイズ番組『二代目 和風総本家』の2代目司会者を2020年3月の番組終了まで務めた。
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