観用少女

観用少女

『観用少女』(プランツ・ドール)とは、川原由美子による漫画作品である。朝日ソノラマの『眠れぬ夜の奇妙な話(ネムキ)』にて連載された。ミルクと愛情を糧に生きる不思議な人形「観用少女」と、それを取り巻く名もなき人間たちの姿を描いたオムニバス形式の物語である。
作中に登場する観用少女は、名人の職人が作り上げた「生きる人形」であり、長髪の幼女の姿をしている。主食となる特別なミルクを与えると極上の笑顔を見せるが、持ち主の愛情が不足すると「枯れて」しまう繊細な存在として描写される。波長の合う相手に出会うと目を覚まし、自立歩行や身の回りのこともこなすが、ミルク以外の食事を与えると「育って」しまうという禁忌も存在する。チャイナ服の男が営む店で莫大な金額で取引される彼女たちを巡り、美しくもどこか残酷で幻想的な世界観が展開される。

観用少女のレビュー・評価・感想

観用少女
10

生きる少女人形の物語

観用少女(プランツ・ドール)、それは、『名人』と呼ばれる職人達が丹精込めて作り上げた人形だ。人形達はただの人形ではなく、『生きている』のだ。
人形達の容姿は、西洋風の姿をした物(者?)もいれば、アジアン風の姿をした物までと様々だ。
人形達は、美青年が経営する専門店で、眠りながら来店者を待っている。
そして、自分と波長の合う者が来店者として訪れると目を覚まし、素晴らしい笑顔を見せる。
その笑顔を見せたら、他の来店者には見向きもしなくなってしまう為、購入を余儀なくされるが、その値はかなりの高額だ。
具体的な価格は出てはこないが、来店者達のリアクションを見るに(漫画的な表現で、『目玉が飛び出す』等)、安易に購入出来る金額ではないようなのだが来店者は皆、人形を購入して行く。
何故なら、人形の…少女の笑顔がとても愛らしく心打たれるものだからだ。
『生きている』 というのだから、当然食事も摂る。
人形達の食事は、持ち主の『愛情』と、高価な人形専用のミルクを一日に三回と、週に一度の砂糖菓子だ。
それ以外の物を与えると、人形は少女から『成長してしまう』のだ。
成長の仕方は与えた物により変わるらしく、ある者の人形は、ふくよかな体型の女性、またある者の人形は、品の良さそうな美女へと姿を変えた。
人形達は基本的には声を発する事はないが、特定の条件で声を発したり、中には歌を歌う物もいる。
物語は、基本的に一話から二話で完結するタイプとなっている為に非常に読みやすい。
ストーリーも、ほのぼのとしたテイストのものを中心に、時にややホラーなテイストなものや、しんみりしとしたテイストまでと様々だ。絵柄も繊細かつ丁寧で、とても美しい。
少女達が身に付けているドレスのデザインも豊富で個性豊かな為、服飾デザインを見る事が好きな人にもお薦めしたい作品だ。