機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還 / MOBILE SUIT GUNDAM MSV-R RETURN OF JOHNNY RIDDEN

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還 / MOBILE SUIT GUNDAM MSV-R RETURN OF JOHNNY RIDDENのレビュー・評価・感想

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還 / MOBILE SUIT GUNDAM MSV-R RETURN OF JOHNNY RIDDEN
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宇宙世紀が見える作品

この作品は、「逆襲のシャア」、つまりは第二次ネオジオン抗争直前のU.C.0090を舞台とした、ジョニーライデンの正体を巡る物語である。ジョニーライデンは、MSVシリーズに登場したジオン軍のエースパイロットであり、一年戦争最後のア・バオア・クー攻防戦において消息を絶っている。この設定を基にして描かれた作品であり、この作品自体、MSVの公式続編であるMSV-R企画において生み出されている。そのため、もともと宇宙世紀を舞台とした本編シリーズを補完するMSVに、更なる深堀りを加えており、細部まで緻密に設定が編まれている。長いこと答えの出なかった設定や、矛盾とも取れてしまえたような部分にも、公式が一つの答えを出してくれており、コアなファンの間でとても人気の作品となっている。しかし、この作品の内容自体も非常によくできており、MSという兵器を扱う人間たちが様々な思惑と使命を抱え、それらが絡み合ったときにどのような結果をもたらすのか、見ていてとても面白い。まるでアメリカの長編シリーズドラマを見ているようだ。正直なところ、難しい話が多い。しかし、そういった部分には必ず後からネタバラシを自然に加えてくれるので、安心して続きを読むことができるし、そのことを知ってから戻って読み返すという楽しみも生まれる。そういう意味で、非常によくできた作品だと思う。