辺獄のシュヴェスタ

辺獄のシュヴェスタのレビュー・評価・感想

辺獄のシュヴェスタ
8

主要キャラの強さに勇気をもらえる作品

この作品は本屋で見かけてなんとなく読み始めたのですが、いつの間にか一番好きな漫画になっていました。舞台は魔女狩り全盛期、魔女として処刑された人々の娘たちが集められた修道院で、復讐に燃えるエラが主人公です。
もちろん登場人物も組織も物語もフィクションなのですが、ドラマチックな展開の中にある人間くささや理不尽な現実が妙にリアルさを感じさせ、「本当にこんなことが起きていたのかもしれない」と思わせるストーリーになっています。そして何より、主要人物のエラ、カーヤ、テア、ヒルデがとにかく強い。それぞれに暗い過去やそれによってゆがんだ認識を持って生きていますが、生きるということ、仲間を守るということに関しては揺るがぬ強い意志を持っています。修道院の陰謀から同世代の女の子社会のいじめまで様々な試練が彼女達を襲いますが、最後まで考えることをやめず、ただまっすぐに進もうとする少女達の姿には確かな勇気をもらえるんです。
残酷さと理不尽さ、どことなく残る後味の悪さは読む人を選ぶかもしれませんが、血にまみれても信念を貫くダークヒロイン的なエラの生き様に少なからず憧れを感じるのも事実。趣味嗜好の近い友人達に強く勧めるほどには私に刺さる作品でした。