魔王の始め方

魔王の始め方のレビュー・評価・感想

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魔王の始め方
7

人の身でありながら魔王となる男の人生

小説家になろうR18部門から連載が始まり、ソーシャルゲーム化もされた同タイトルのコミカライズ作品です。
ゲームはすでにサービスを終了しているためプレイヤーとしてその物語を追うことは出来ませんが、ノベルとコミックスという形で楽しめることは嬉しいです。

なんだか和やかさを感じるタイトルで作中にもコミカルなシーンはいくらか登場するものの、本作は基本的にダークファンタジーで、主人公のオウルは魔王と呼ばれるにふさわしい力と悪事を行使していきます。

オウルは戦略や魔法技術だけではなく性に関する技術も飛び抜けているようで、元々敵であった女性達を性的快楽を用いた洗脳などによって従順な配下とします。一方で同性愛の嗜好を持たないために敵であった男性は即座に殺害するか、女性を洗脳するために利用、あるいは絶望に落とした上で強力な魔物に変えて配下に加えます。

ただの暴力的な支配だけではなく、支配した村は税を収める代わりに豊作の呪いをかけたり脅威からの保護を行うなど「逆らえば地獄を味わい、従えば得をする」という状況を作り、見事に人心を掌握していきます。

現在の知識や技術を習得するまでにオウルはすでに80歳を超える老年となっていますが、召喚し契約を結んだサキュバスの能力によって20歳前後の若さを取り戻しています。

いつしかオウルとサキュバスの間には契約者以上の絆が生まれ、その不思議な関係の正体ものちに語られます。

タイトルの印象から軽い気持ちで触れ、その物語の作り込みとのギャップに驚かされました。