INIの進化を見逃すな!メンバー「当て書き」の楽曲がガチハマりの気持ちよさ
2021年に放送された、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』。
この番組出身の11人で構成されたボーイズグループがINIだ。
前シリーズ『PRODUCE 101 JAPAN』出身のJO1の成功があり、期待の反面、「影が薄くなるのでは?」という二番煎じの心配もなかったわけではない。
ところが、フタを開けてみるとその快進撃に舌を巻く。
メンバーの個性と人の良さ、それらを引き出してファンに提供していく運営の努力。
YouTubeでは楽しそうな仲良さげな彼らを見ることができる。
その一方で、生み出されるのは大胆かつ緻密に組み上げられた楽曲とパフォーマンスのギャップだ。
彼らは確実にファンを増やしている。
ドラマや映画の脚本のように、INIの楽曲はメンバー1人ひとり「当て書き」したような構成になっていることが多い。このキャスティングがガッチリとハマっているのが気持ちいい。
11人の個性と強みを活かしたパフォーマンスは、そのドラマ性で見ている我々を引き付ける。
まずは低音ラップの田島、西、池崎が、自分の中に眠っていた焦燥や不安を煽る。それでいいのかと「問題提起」のパートが始まり、聴いている側に共感を生む。
そこに後藤、佐野、松田が甘いスパイスを振りかける。少し離れた場所から、王子たちがそっと手を差し伸べてくるのだ。
そして突然目の前が開けたと思ったら、そこに立っているのは藤牧。彼は広くて神聖な場所を生み出す「空間」のエキスパートでもある。
そして、尾崎、許という天使が導く先に、髙塚という光の柱が立っているのを目撃するのだ。
最後にたどり着くのはリーダーでもある木村のパフォーマンス。楽曲の咀嚼力が高い木村だが、男臭い楽曲でも彼に掛かると品の良さが加わってしまう。
完全なファン投票で選ばれた見た目も性格もバラバラの個性たち。彼らがまとまるのは、やはり木村の存在感と安心感なのだろう。何より、1位で選ばれた木村はパフォーマンスと同じくらい人間性の評価が高い。
もちろん、メンバーもドラマを任せるのに充分な実力を持っている。
これでもまだ、INIは進化の途中だ。
確立されたドラマの枠を超えて、これからも新しい楽曲のケミを生み出してほしい。