ブルックリン / Brooklyn

ブルックリン / Brooklynのレビュー・評価・感想

ブルックリン / Brooklyn
9

自分の居場所を作る物語

ブルックリンは2015年に制作された映画です。
佳作の部類だと思いますが、観終わった後になんとも心地よい余韻が残る映画と言えます。
舞台は1950年頃のアイルランドの小さな街。
貧しい家に生まれたエイリシュが働き口を求めてアメリカのブルックリンに移住し、
苦労しながら自分の居場所を作り上げていきます。
しかし、とある事情で故郷に帰ることになり、
このまま故郷で暮らすか、ブルックリンに戻るかという葛藤が話のキーになります。
見所は彼女がブルックリンで居場所を見つけていく過程です。
彼女はホームシックとなり鬱になりかけていた所を、同郷の神父の計らいで簿記を勉強することに。
それを機に学ぶ喜びと自信を得た彼女は恋人を見つけ、孤独だった異国で幸せな生活を築いていきます。
苦労し、周りの人にも助けられながら自分の居場所を作っていく姿は、観ている人に共感と元気を与えてくれます。
そして、彼女が学んで得た簿記は帰る事となった故郷では希少な専門技能だったらしく、
それは貧しくろくな働き口も無かった彼女の故郷での社会的地位を上げ、今までとは違う景色を見れるようになります。
それがブルックリンに戻れない原因になり、葛藤を生み出していくのですがそれは実際の目で観てお楽しみください。
さて、エイリシュはどんな決断を下すことになるでしょうか?

ブルックリン / Brooklyn
9

こんな生き方をしたい。

主人公の気持ちがストレートに伝わってくる映画でした。お話はアイルランドの女性が新天地を目指してアメリカに行くというもので、故郷から離れると誰しもが経験するホームシックというものが描かれています。エイリシュは国まで変えているのですから、その戸惑いや寂しさはひとしおでしょう。映画を見ていて、こっちも泣きそうになりました。
でも、ブルックリンは移民も多い街だし、いい人たちのおかげで次第に慣れていって、すごく明るくなってきました。そうすると、なんだかファッションも変わってきていて、そういうところがリアルだし、共感できました。そして、エイリシュは自分の生き方を決めます。どちらが彼女にとっていいのかとか正しいのかとかはわからないことだけど、自分で生き方を決めたっていう、そこが素晴らしいです。周囲からの目もあるし、なかなかできることではありません。
エイリシュは最初、姉に心配されていたのにすごく変わったなと感じ、とてもおもしろかったです。女性が見て、憧れるというか、こういう生き方をしたいと思える映画でした。あと、アイルランドとブルックリンの風景の対比もあって、その点でもおもしろい映画でした。

ブルックリン / Brooklyn
8

誰でも共感できる作品

レディーバードが高評価の2021年現在ハリウッドを代表する若手の女優のシアーシャ・ローナンが主演を務めた若く瑞々しい作品。
第二次世界大戦後の1950年代アイルランドからNYのブルックリンへ仕事を探してはるばる来た内気で冴えない少女エイリッシュ。慣れない地に慣れない仕事でホームシックになりながらも仕事での葛藤、人との出会い、そして恋を通して大人の女性へと成長していく物語。
そして予期せぬ大きな絶望から久しぶりに実家へ帰ったエイリッシュは以前のような垢抜けない少女ではなくなりとても魅力的な女性に変わっており、当時は考えられなかった出逢い、経験を通して故郷への想いも膨らんでいく、、、
最終的に彼女は愛する人の待つブルックリンへ帰るのか、ずっと焦がれていた故郷へ残るのか、、、

徐々に自信をつけ美しく変わっていく姿にとても心動かされます。
10代の多感時期からをとても繊細に丁寧に描いている、シアーシャ・ローナンの演技が素晴らしかったです。
きっと誰もが通り過ぎて来た葛藤に共感できるのではないでしょうか。
成長していくにつれエイリッシュの服装が変化していき、垢抜けていくファッションもとても可愛く、見どころの一つになっています。