今まさに時代が直面している事
この作品が書かれたのが2002年頃なので、約20年近く前の作品という事になる。
2002年といえばインターネットやパソコン、携帯電話が世間に普及しはじめた頃だが、その利便性が大きく注目される事はあっても、それらの精神性について考える人はほとんどいなかったように思う。
「ちょびっツ」はそこに切り込んだ作品と言え、その先見の明に驚かされた。
「ちょびっツ」の世界ではパソコンは人の姿をしており(ロボットなどではなく人間と見分けが付かないくらい)、人々の生活にパソコンが完全に溶け込み、生活から切り離せない「物」である。
ある種の依存のようなその状況に疑問を投げかけている作品ともいえるが、一番肝心なポイントはそこではない。
パソコンはあなたにとって何「者」ですか?
その問いをあなたの心を通して考えた事がありますか?
という問いかけをしている作品なのである。
パソコンを擬人化して表現する事で人とパソコンの関係を見やすくしており、その関係性に悩む人々を描くことで読者の心へ自然と問いかけをしている。
良いとか悪いとか単純な問題ではなく、人にもパソコンにも様々な生い立ちや境遇があり、各々が目をそらさずに真剣に向き合うべきなのだと。
人工知能などの言葉が良く聞かれるようになった現代においてこそ、この問いかけはより一層受け入れられるべきだと思う。