サバイバル

サバイバル

『サバイバル』とは、原作・原案さいとう・たかを、作画さいとう・プロダクションによるサバイバル・ファンタジー漫画(劇画)作品である。
1976年から1978年にかけて『週刊少年サンデー(小学館)』にて連載されていた。
ある日、突如として世界中に発生した巨大地震を生き残った日本人少年・鈴木サトルが、文明の壊滅した世界で己が生存をかけて抗う姿を描く。
大自然に放り出された人間が、人類原初の生活に戻り、そこから創意工夫と勇気をもって少しずつ元の文明を取り戻そうとしていく様が読者を大いに惹きつける。

サバイバルのレビュー・評価・感想

サバイバル
10

ゴルゴ13の作者が描く、少年のサバイバル漫画

突如、日本全土が壊滅する災害に見舞われ、訳もわからない状態から孤独に生き残る術を探さなければならなくなる少年が主人公。
作品内では、失敗をしながらも諦めず生きる方法を模索し続ける主人公の姿があります。
安全な家や食糧庫のない状態で襲いくるネズミの恐怖、娯楽のない孤独の辛さ、ミミズさえも食べなければならない食料問題。

途中1人の女性と出会い共に生活しますが、心優しい女性は少年が苦労して遠ざけたネズミへ「ネズミさんもお腹が空いているでしょう」と残飯をあげて再びネズミの脅威に晒されます。過酷な環境と状況に耐えられなかった女性は気が触れて亡くなってしまい、またも孤独に陥るなど1人でなくともそれに寄る問題が発生してしまうというリアルさも恐ろしいです。

原因不明の失明や、日本へ様子を見に来た軍人との関わり、生き残った人々が暮らす村を見つけるも対人トラブルにあったり山火事を乗り越え絆を紡いだり、何の保証もないサバイバルでは毎日が命がけでした。

こんな状況でも彼が耐え続けたのは、きっと生きていると信じている家族と会うため。
少年は虫を食べるなどの過酷な食生活を送る時、外食で「こういう所の水って不潔な感じがして嫌」と言っていた姉を思い出し、家族の生存に不安を感じたりするシーンもあります。
最終的に父は亡くなっていることがわかりますが、母と姉は村八分にされながらも生きていることがわかり、母と姉がいるという洞窟へ喜び駆ける少年の姿で締めくくられます。
諦めないこと、手段を選ばないこと、極限状態での大切な心構えと方法がふんだんに盛り込まれ、知識欲も満たされる作品でした。