Lily Chou-Chou / リリイ・シュシュ

Lily Chou-Chou / リリイ・シュシュ

Lily Chou-Chou(リリイ・シュシュ)とは、岩井俊二主導によって2000年から始まった小説と映画のプロジェクト『リリイ・シュシュのすべて』の作中に登場する架空のシンガーソングライター、およびそこから生まれた同名の音楽ユニットの名前。リリイ・シュシュは映画内に登場する同名の架空のシンガーソングライターの名前だが、実際に小林武史(音楽プロデューサー、作曲家、キーボード)、岩井俊二(映像クリエイター、プロデュース)、Salyu(ボーカル)による同名の音楽ユニットも結成され、本編中の音楽を担当した。映画内の楽曲はすべてSalyuが歌唱している。2001年に上映された映画版『リリイ・シュシュのすべて』公開終了後はプロジェクトも終了となったが、2009年に小林とSalyuの編成にギタリストの名越由貴夫を迎えた形で再始動した。

Lily Chou-Chou / リリイ・シュシュのレビュー・評価・感想

Lily Chou-Chou / リリイ・シュシュ
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呼吸について

岩井俊二監督の映画の原作である小説《リリイ・シュシュのすべて》に先行する形でLily Chou-Chouは結成された。ボーカルはSalyu、作詞は岩井俊二、作曲を小林武史が担当。《呼吸》が唯一のアルバムとして発表されている。
リリイ・シュシュを語る上で必ず出てくる用語に《エーテル》がある。目に見えない物質。特に定義づけはされていないが、青のエーテルは希望、赤のエーテルは絶望を表す。リリイの曲を聴くとエーテルを感じることができるらしい。エーテルの有無については僕にはわからないが、呼吸を聴くと浮遊するような不思議な感覚に陥るのは確かだ。中でも《回復する傷》は素晴らしい。いわゆる、スキャットで歌詞はない。たぶん、映画の影響を強く受けている人間が聴いたなら、間違いなくエーテルを感じるに違いないだろう。それは岩井俊二の思うつぼだとは知らずに。ある意味に於いて僕たちは洗脳されたのだと思う。エーテルという触媒を通じて。魂のシンクロニシティを信じたのである。
少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、この音楽にはそれなりの力があると僕は思う。騙されたと思って一度《呼吸》を聴いてみてほしい。感想を聞くのはその後でも遅くはないのだから。