傑作だった前作の精神性を受け継げなかったガワだけの失敗作
けものフレンズは2017年のアニメ界にとって象徴的なダークホース作品だった。
チープな3Dアニメーションを「味」に変え、丁寧なストーリーテリングと独特な世界観で多くの視聴者を虜にした。
けものフレンズ2はその続編であり、前作の後日談に該当する。
しかしながら、本作は前作が持っていた輝きの多くを引き継げていない。表面的には似せて作ってあるが、根本的な所で全く別物であり、遠く及んでいないのである。
前作の成功後に制作サイドでゴタゴタがあり、監督を始めとした前作の功労者のほとんどが本作に関わっていないことは間違いなく致命的な失敗要素として作用している。
例えばメインキャラクターである、サーバルキャットの擬人化キャラクターの「サーバル」。前作では主人公であった「かばんちゃん」の最も良き理解者であり、少しドジだけれど好奇心旺盛で優しい女の子としてしっかりキャラが確立していた。翻って、今作のサーバルは凡そ感情のようなものが感じられない。目の前で起こっていることに対して、「すごーい」とロボットのように毎度安直に感動するばかりでリアリティのある人物としての説得力がないのだ。「すごーい」はサーバルを象徴するセリフの1つとして前作から有名であったため、余計に過去の栄光を表面的にあやかっているだけに思える。
本作は全12話を通して登場人物の扱い、言い換えればリアルなキャラとしての感情・思考の動きに無頓着であり、ストーリーに説得力を持たせられていない。
1代目を追い出して店を継いだ2代目は、技も心も体得していなかったのである。これでは看板だけ背負っていても誰も後継者とは見做してくれないだろう。