カプチーノ

カプチーノのレビュー・評価・感想

カプチーノ
9

ビームコミックスには珍しいラブコメディ

菊池まりこ氏が描くとても可愛らしいラブコメディです。
涙川克美(なみだがわ かつみ)16歳は初心で甘々の女の子。
そんな彼女は友達の付き合いで初めての合コンにカラオケに行きますが、高校生らしからぬふしだらな雰囲気に馴染めず帰ろうとします。友達に引き留められ、戸惑った克美はとっさにその場に居合わせたカラオケの従業員であった萩原岳彦(はぎわら たけひこ)を彼氏であると嘘をついてしまいます。
岳彦は状況を何となく理解し調子よく合わせてくれ、彼女の嘘を信じた友人から「デートの写メ」をねだられた後もきちんと写メを取るために予定をあけてくれる優しい大学生でした。

その後のデートで本当に付き合うことになった二人のどたばたラブコメディです。
何もかも初めてで分からないことだらけ、自分に自信もない克美と、優しいけど優しい男止まりで何となく過ごしてきた岳彦が付き合ってから本当の意味で惹かれ合っていく、という王道のストーリーですが、特筆して素晴らしいのは丁寧でかつ可愛い作画と漫画描写の勢いの良い面白さにあります。
ビーム(現ハルタコミックス)ではファンタジー物やSF物が多い中、あえてこの題材にトライしているだけあって、独特のテンポと個性的だけど懐かしくも感じるキャラクターがとても魅力的です。
最初はリードされっぱなしのようなヒロインですが、徐々に成長し自己を表現していけるようになる成長譚的な側面もあり、応援してくれる友人にも恵まれていて読んでいて心がほっこりします。

もう完結済みで全3巻と揃えやすいので、是非多くのラブコメファンの方に読んでほしい作品です。