川の底からこんにちは

川の底からこんにちは

『川の底からこんにちは』とは、2010年の日本映画。第19回ぴあフィルムフェスティバルスカラシップ作品。日本国外の映画祭で評価されてきた石井裕也の商業映画デビュー作である。主演は満島ひかり。第60回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門の招待作品となった。2010年の第32回ヨコハマ映画祭日本映画ベストテン第6位。また、満島ひかりが主演女優賞を受賞した。第53回ブルーリボン賞では石井裕也が監督賞を史上最年少で受賞した。
上京して5年目のOL・木村佐和子は、仕事も熱心ではなくバツイチ子持ちの上司が彼氏という、妥協だらけの人生を送っていた。そんなある日、父親が入院したという知らせが入り、家業のしじみ工場を継ぐことになる。佐和子は田舎暮らしがしたい健一の意向もあり、連れ子と3人で田舎に帰ることになるのだった。

川の底からこんにちはのレビュー・評価・感想

川の底からこんにちは
7

シュールでおもしろい。

あんまりいい人ってわけでも、強い人ってわけでもなく見えた佐和子ですが、何があってもしょうがないと開き直れてるし、佐和子って実は一番強いんじゃと思えてきました。私もいろいろ頑張れないから、佐和子にいろいろ共感してしまいました。こういう人を主人公にするのって結構珍しいなと思いますが、すごくユーモアにあふれてておもしろかったです。
最初、いろいろやられっぱなしでかわいそうな佐和子のところもおもしろかったし、そこから立ち直っていくのもいいです。子どもが佐和子になつくのもわかる気がします。あと、シジミ工場というのも、なんか変わった舞台でいいです。そこで歌うシーンとかもシュールで好きです。また、ゴリラの話が出てきたり、いろいろと小ネタもあったと思います。
なんか、最後の結末はあまり理解できなかったけど、おもしろかったです。仕方がないと開き直るのはよくないことのように描かれたりするけど、それは開き直りではなく、そうやって生きるのが賢いし楽しいのかもしれません。満島ひかりさんは、すごくかわいいけど、なんかだらしない女のように映ってて、その演技力に脱帽しちゃいます。

川の底からこんにちは
9

え?ホラーですか?いいえ違います。

タイトルだけ見ると邦画のホラー映画のようですよね、貞子とかそこらへんのジメジメ系の。しかし内容はヒューマンドラマとコメディのいいとこ取りな感じです。
主演は満島ひかりで、2010年の映画なので彼女が売れ出したかなって頃でしょうか。東京で日々無気力に生きている女性が、父が入院したことによって田舎の実家のイマイチ上手くいってないしじみ工場(しじみという設定がすでにシュール)を嫌々ながら継ぐことになります。私自身が勤務経験があるのですごくよくわかるのですが、こういった食品工場って、そんじょそこらの社員より勤務歴の長いパートのおばちゃんがいたりして、往々にしてそのおばちゃんが工場内を牛耳ってたりするんですよね。おばちゃんの存在に関しては良い点も悪い点もあるので、そこは社員がどう転がすかによって工場の先行が決まります。逆に転がされちゃうこともありますけど…。そんな訳でこのしじみ工場にもそんなパートのおばちゃんが出てきます。なんとなく想像できるかもですが、主人公はそのおばちゃんと最初こそ対立しますが、徐々にお互いを認め合い、工場の立てなおしに成功する、という話です。
王道っぽいストーリーではありますが、何しろ主人公とパートもおばちゃんたちとのやりとりがシュールで笑えます。これだけでも楽しい映画ではあるのですがこの映画が他と違うのは、シュールで笑えるシーンのその3秒後にはウルっと感動できてしまうという不思議体験ができるのです。
感動ものが見たいけど重いものはちょっと…という方(そんな需要あるのか?)には大変オススメの映画です。