狐火

狐火のレビュー・評価・感想

狐火
8

うつ病ラップ

ポエトリーリーディングという言葉を聞いたことがあるだろうか。簡単に言えば音楽に乗せて詩を朗読することを一般的に言うそうだ。
この言葉を広めたのは、今は亡き不可思議wonderboyではないかと私は思う。しかし今日は不可思議wonderboyではなく、その盟友と言われている狐火が今回メインだ。
彼は、常に今の自分のリアルを詩にしている。そして、その詩が特徴的でつい耳を傾けてしまうのだ。詩、ポエムという単語を聞いたら、きっと川のせせらぎのように綺麗で草原に吹く風のような気持ち良さがあるのではと思う人もいるかもしれないが、彼は真逆と言っていいかもしれない。綺麗ごとを言わないのだ。そして今の現代人の底辺を表したような詩が多い。「〇〇才のリアル」これはシリーズのように続いている作品なのだが、これがその年齢と被ってしまうと聞き入ってしまう。詩の中ではがんばれと言った鼓舞するような綺麗な言葉はなく、今に見ていろ!返り討ちだ!などと言った皮肉っぽい単語が並ぶ。しかし、それは今を生きている人に足りない部分なのかもしれない。人生がある程度のレベルでうまくいっている人が聞くとうつ病なのではと笑うだろう。何かに本気で悩んでいる人が聞いたら必ず響くものがあると思う。苦悩と挫折を乗り越えた狐火だからできる表現なのかもしれない。