イップ・マン外伝 マスターZ

イップ・マン外伝 マスターZ

『イップ・マン外伝 マスターZ』(原題:葉問外傳 張天志、英題:Master Z: Ip Man Legacy)とは、2018年の香港のカンフー映画である。実在の武術家・葉問(イップ・マン)を主人公とするシリーズ作品の第三作『イップ・マン 継承』のスピンオフ。『イップ・マン 継承』で登場した葉問のライバル・張天志(チョン・ティンチ)のその後を描いた作品である。
正統な詠春拳を決める葉問との対決に敗れたチョン・ティンチは、詠春拳を封印して自らの武館を閉鎖し、闇の仕事からも足を洗った。その後、息子のフォンと共に店を経営し、慎ましい生活を送っていたが、ある日ティンチはバーの歌手であるジュリアとホステスのナナを救う。その一件で麻薬売買を仕切っているキット一味から目をつけられたティンチは、店と自宅に火を放たれ、フォンも大けがを負ってしまう。

イップ・マン外伝 マスターZのレビュー・評価・感想

イップ・マン外伝 マスターZ
10

古き良きクンフー映画の趣!

ドニー・イェン主演作「イップマン」でイップマンに挑み敗れた武道家・チョンのその後を描くクンフードラマ。かつて武術で名を成し、さらなる栄光を求めた男が敗北を知り、息子とともに平穏な生活を送っていたが、街を牛耳るギャングとの抗争に巻き込まれた末、恩人までも殺され封印していた「詠春拳」でギャングに背後に蠢く巨悪に立ち向かう。
主人公を演じたマックス・チャンが、武術を捨てた市井の人間としてあくまで平凡に生きようとする姿が素晴らしく、単なるクンフーアクションを超えたドラマよる深みが備わっていて、息子もかつては武道家として活躍した父親の苦悩を知りつつ「普通の父親」になってくれた事にも安堵している複雑な心境を見事に演じている。そしてやはり特筆すべきは肝心のアクションで監督・武術指導共に香港映画会では一流の「袁一家」という事もありただただ素晴らしいの一言。悪役はアメリカの格闘技界で活躍し一斉を風靡したデイブ・バウティスタで「極悪非道かつ最強」の悪役を楽しげに演じており。クライマックスで展開されるマックスVSバウティスタの死闘は壮絶かつ華麗で近年のクンフー映画の中でもベストランクといっていい。作品の雰囲気自体が「昔懐かしいクンフー映画」となっているのも筆者のようなオールドファンには嬉しい限り。