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チャック・ノリスの隠れた傑作!
かつてブルース・リーの敵役として「ドラゴンへの道」でそれなりに鮮烈デビューを飾ったチャック・ノリス。武道家としてのこれまでのキャリアもあり、道場経営も順調ではあったが、どうしても「役者で売れたい!」という野望が捨てきれなかったのか、比較的低予算のアクション映画に主演しては大成しようと足掻いて?いた頃の主演作。
「麻薬組織を追う刑事が相棒や知人を組織に殺され復讐を誓う」といった、いかにも単純明快なストーリーではあるが、その分ノリスの「荒削り」な魅力が凝縮された作品であり、ノリスファンならば堪えられない痛快作となっているのは間違いない。「必殺カラテ」を武器とし、かつて全米カラテチャンプとして幾度も「勇名」を馳せたのも伊達ではないと感じさせるアクションを随所で披露し、特にクライマックスで展開される「組織の用心棒」を演じた元レスラーの東洋系の巨漢「プロフェッサー・タナカ」とのパワフルかつスリリングな一騎打ちは作品の白眉。そして主演のノリスの魅力だけではなく、脇役のマコ・イワマツ、リチャード・ラウンドトゥリー、クリストファー・リーもそれぞれの役柄でこの作品を盛り上げているが、特に「一見紳士だが実は麻薬組織のボス」を演じたクリストファー・リーに関しては自身が「ドラキュラ以外ならどんな役でも受ける」といっていた頃でもあり、「だからといってこういう役を受けなくても…」と多少微笑ましささえ感じさせてくれる。