Honey Bitter

Honey Bitter

『Honey Bitter』(ハニービター)とは、小花美穂による恋愛漫画作品。集英社の『Cookie』にて2004年から2019年まで連載された。人の心が読める特殊能力を持つ主人公が、探偵事務所での仕事を通じて自身の過去や事件に向き合っていく姿を描くサスペンス要素を含んだ物語である。
他人の思考を読み取ってしまう「テレパス」の能力を持つ音川珠里(おとかわ しゅり)は、その力のせいで人間関係に絶望し、心を閉ざして生きてきた。しかし、叔母の早穂に能力を肯定されたことで、彼女が経営する探偵事務所「オフィス・S」で調査員として働くことを決意する。
心機一転、新たな生活を始めようとした珠里だったが、同僚として現れたのは高校時代の元恋人・虹原吏己(にじはら りき)だった。彼との辛い過去がトラウマとなり極度の男嫌いに陥っていた珠里は動揺するが、そこへ明るく真っ直ぐな性格の大学生・久保陽太(くぼ ようた)も加わり、三人は様々な事件の調査に乗り出すことになる。
作者の小花美穂が、前作までのポップな作風から一転してシリアスなテーマに挑んだ作品。連載期間中、作者の産休や体調不良による長期休載を挟みつつも、2019年に完結を迎えた。単行本は全14巻。2010年には作者のデビュー20周年を記念し、代表作『こどものおもちゃ』とのクロスオーバー作品『Deep Clear』が本作の枠組みで掲載され、大きな話題を呼んだ。

Honey Bitterのレビュー・評価・感想

Honey Bitter
10

読心能力がある少女がトラウマを抱えながら事件に立ち向かう!

『こどものおもちゃ』が大ヒットした小花美穂の作品。
少女漫画でありながら、少年漫画のようなスリルもあり、読み応え抜群。
主人公は、読心能力を持つ18歳の珠里。高校時代に付き合った元カレに酷いことをされたのがトラウマとなり、男嫌いになってしまった。心が読めることで両親や友人から疎まれ、すっかり周囲と距離をおきながら淡々と日々を過ごしていた。
そんなとき、元警察で今は探偵事務所の所長である伯母の早穂に能力を買われ、探偵として踏み出す。
しかし、新入社員としてやってきたのは、トラウマの元凶の元カレ 吏己だった。
と同時に、珠里に一目惚れした大学生の陽太も現れ、2人の男性に翻弄されていく。

この作品は、キャラクターそれぞれの個性も魅力的だ。叔母の早穂は破天荒で、窮屈な警察を辞めて、多少無茶をしてでも依頼を解決する。尻拭いを警察時代の同僚にさせたりもする。カニを食べに北海道日帰りしたり。無茶苦茶に見えるが、珠里の一番の理解者で誰よりも親身になってくれる。そして、はっきりとした記載はないが、「オフィスS」という事務所名にしたのは、珠里にいずれ継がせようよいう意図があるようだ。特殊能力故に生きづらさを抱えていた珠里に、「あなたが必要だ」と居場所を与えてくれた。早穂がこの作品の最重要人物だと言っても過言ではないかもしれない。
明るく優しい陽太派か、影があり何を考えているかわからない持吏己派か。おそらく好みが別れるところだろう。
物語が進むにつれて見え隠れする吏己の珠里への想いは、とても切ない。
少女漫画では珍しい、主人公が犯罪を犯してしまう(正当防衛?)シーンもあり、コマ数も多いので、好みが分かれる作品かもしれない。
しかしながらとても作り込まれたストーリーで、作者の持ち味であるときたま入るギャグも魅力だ。

Honey Bitter
8

読心術を持つ女性の成長と葛藤に感動

「こどものおもちゃ」などの代表作で知られる小花美穂先生の最新連載です。人の心が読める、特殊能力を持っている主人公・珠里が、その能力ゆえの苦悩を乗り越えながら、恋愛や仕事に奔走し、友情をはぐくんでいくお話です。
人の心が読めることで、人の気持ちの表と裏があることや、両親から拒絶され辛い幼少期を過ごしたこと、また恋愛でも男性に恵まれず悪い男に引っかかってしまい、人間不信に陥っている状態から物語が始まります。唯一の友人であるみのりと、特殊能力を知った上で珠里を好きになった純粋で明るい陽太、親戚で珠里の能力を仕事に活かしてくれている叔母の早穂など、理解ある人々に囲まれて少しずつ心を開いていく様子が印象的です。男嫌いになった元凶でもある元カレ・吏己も登場し、陽太を含んで三角関係になり、物語が進むにつれて恋愛面でも目が離せなくなります。
小花先生の作品に共通することですが、シリアスな場面では読者も一緒に悩むほど引き込まれ、コミカルな場面では大笑いしてしまうほどギャグが仕組まれており、テンポよく楽しく読める作品です。完結しており最終話では少し余白があり、読者の方がその先を想像できるような終わり方になっています。10~20代女性におすすめの作品です。