笑う大天使

笑う大天使

『笑う大天使』(わらうミカエル)とは、1987年に『花とゆめ』(白泉社)にて連載が開始された中編コメディ少女漫画。作者は川原泉である。単行本は全3巻、文庫版は全2巻刊行された。
名門お嬢様学校・聖ミカエル学園に通う司城史緒、斉木和音、更科柚子。3人は良家の令嬢として猫をかぶり学園生活を送っていたが、ある事件をきっかけに互いの本性を知る。意気投合した3人は友人となり、共に学園で起こる事件を解決していく。
本作は2006年に実写映画化された。出演者は上野樹里、関めぐみ、平愛梨などである。監督は小田一生が務めた。

笑う大天使のレビュー・評価・感想

笑う大天使
8

お嬢様学校のはみ出し者3人組

この物語は聖ミカエル学園という由緒正しい、ミッション系お嬢様学校(皆さん良家の子女の為、いじめなんて発想も湧かないくらいお上品)に、元伯爵家の令嬢・司城史緒が都立トップの東大進学率を誇る学校から転入して来ることから始まります。
クラス委員で学年トップの更科柚子や、スポーツ万能の斉木和音は彼女の能力に内心驚嘆。そんな史緒が自習時間教室に見当たらず、二人は迷子になってないかと探しにいくが、裏庭から何やら煙がもくもくと。そこでは史緒さんが干物を焚き火で焼いていた。
思わず、素が出てしまった3人はお互いの被っていた猫を認め合い、なんとなく仲良く過ごす事になる。
周囲からは憧れの眼差しで見られる3人は実は、史緒さんは嫁姑問題が原因で生き別れた兄と母の葬儀で初めて会い、慣れないお嬢様生活に疲れ、柚子さんは家が大衆食堂からチェーン展開に成功した成金で貧乏生活が抜けず、和音さんは不仲な両親に放置され父が拾ってきた謎の少年に育てられたせいでぼうっとした変わったお嬢様になってしまったという。
先生はほとんどがシスターや外国人。ある日、連続誘拐組織が学校に潜入して来るも、理科室の掃除の際の実験で謎の怪力が身についてしまった3人はその力でお嬢様達を救ったりと意外な展開が繰り広げられます。
このお話の他には、それぞれを主人公とした話が展開していきますが、どこか悲しさを含んだ背景に、切なくなったり、良かったねと抱きしめてあげたくなるような感動があります。
すごくシンプルな、少女漫画的には上手ではない絵かもしれませんが、この照れ隠しのような雰囲気に絵も過多な情報量もとても合っているのです。