「山本 崇一郎」氏の人気ラブコメ、「からかい上手な高木さん」より面白い。
山本 崇一郎氏は、「からかい上手な高木さん」で一躍有名になったが、この「それでも歩は寄せてくる」では、からかわれるのを女の子の「八乙女 うるし」にし、からかう側を男性の「田中 歩」にしたところに新たな”発見”がある。
八乙女 うるしちゃんに「将棋」でどんどん攻める、のではなく、将棋では負けてばかりの田中 歩くんは、うるしちゃんの「自尊心」を徹底的に見抜いて、揚げ足を取ってくる。
「かわいいですね、先輩は」「顔真っ赤ですけど、大丈夫ですか」とか、うるしちゃんが「照れる」こと、必ず将棋の勝負に言ってくる、フェイント攻撃的な作品で、読者を「笑かせる」内容がフンダンに含まれている。現在1、2巻が発行されているが、どちらも結構な人気のようで、ネットで買う分にも割引値段が設定ないほどである。
すぐのぼせる「うるしちゃん」を、山本さんは上手く描いていて、胸大きくない、胴長短足といういで立ちは高木さんと変わりないが、描画センスは「うる星やつら」よりランク上である。ギャグセンスも現代的になっていて、モテたいのに素直になれないうるしちゃんの屈折した「心情」を逆手に取っている。
今を時めく山本センセイ、といった感じですが、ネタが新しいのを必ず用意してくれる、なかなか努力家の先生だと思う。
「からかい上手な高木さん」が、ちとネタ尽きてる感じするのに、この「それでも歩は寄せてくる」では、新手のギャグが必ず用意されている、なかなか面白い作品だと思う。