その猟奇的なタイトル
このマンガは上下2巻からなります。
小説が原作でキャッチーなタイトルで書店に平積みしているのを目撃された方もいらっしゃるかと思います。
タイトルだけをみるともしかしたらオドロオドロしいホラーなのでは?ともとれますが全く違います。
高校生二人の純愛物語です。
キスシーンすら出てきません。しかしお互いがお互いをとても大事な存在へと昇華していくさまが高校生らしい爽やかなやりとりで描かれています。
主人公の「彼」はクラスメートとも距離をおき誰とも関わろうとしない言わば陰キャラです。
一方の「彼女」は明るく可愛らしく友達も多くクラスでも中心にいる陽キャラです。
そんな二人が関わりを持つことになったきっかけは彼が病院の待合室で置き忘れていた文庫本を手に取り内容を読んでしまったこと。
そこには日記風に綴られた彼女が重い膵臓の病気があり先が長くないことが書かれていました。
その文庫本を探しに来た彼女は誰にも知らせてない秘密を彼に知られたことがわかり口止めをします。
秘密を共有した二人は徐々に接近していくこととなります。
アプローチは彼女からばかりで彼はと言えばそれを渋々受け入れるといった状態でしかし誰とも関わろうとしない彼が彼女だけは受け入れてもいい存在へと変化していきます。
二人はお互いがお互いに持っていない相反する部分に憧れを抱き惹かれあって行きます。
病魔が刻一刻と二人の時間を奪っていきますが彼はまだ彼女に死んで欲しくない。彼女と出会い自分が知らず知らず自分以外に興味を持つことになった事をとても感謝していることを伝えたいと思い一通のメールを送ります。
「君の爪垢を煎じて飲みたい」
しかしこれでは捻りもないと思い直し一番ピッタリくる言葉を探します。
「君の膵臓を食べたい」
この言葉は物語の冒頭で二人で焼き肉を食べているシーンで彼女から昔の中国では悪いところがあると同じ臓器を食べると良くなるという言い伝えとともに彼女に言われます。
しかし彼女からの返信はありません。
そのほぼ同時刻彼女は通り魔から小学生を守ろうとし命を奪われていたのでした。
「彼の言葉は彼女に届いていたのか」
その答えは幾日も経過した後に彼女の家を訪ねたときに明らかになります。
彼女のお母さんは彼こそが名前を伏せられて文庫に綴られいた人物だと察し、病院で見て以来のその文庫に彼は目を通します。
その最後のページに同じように彼女は彼に感謝しておりこの言葉を記します。
「君の膵臓が食べたい」
上下2巻のすぐに読めてしまうマンガです。
二人のやりとりや細かい描写を是非読んで頂きたく思います。