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異例の設定だけど、飾らないリアルな心情に共感!
一人暮らしすることになった部屋に居座っていた幽霊とデートをしなければならないという、ぶっ飛びの設定が笑わせるラブコメ漫画です。幽霊が相手とは言えど、オカルトチックな怖さはなく、逆にほのぼのとした優しいストーリーです。
この漫画の魅力のひとつは主人公・結の飾らなさにあると思います。結は女子力が高いわけでも、美少女なわけでもなく、どちらかというとガサツでだらしない、どこにでもいる女子高生です。そんな結の心情はごく普通な感覚で、読んでいて共感できます。対する相手の幽霊は超がつくイケメンで、自意識過剰で自己中な男子。自分の言いたいことばかりをペラペラと喋り続けるイケメンに辟易する普通女子という間柄に、リアルな感覚があります。
また、せっかくイケメン男子が登場しているのに、彼が幽霊なために顔色が悪く、あまり萌えられないのが逆に良いと思います。少女コミックのイケメンは大抵、主人公の女子の心をかき乱し苦しめます。その恋する胸の苦しみが醍醐味とも言えますが、そんなラブストーリーに疲れてしまった人に、この漫画はオススメなのです。なぜなら、この漫画のイケメン幽霊・晴人が結を苦しめるのは、カッコイイからではなくて、うざいからという、なんともユルイ雰囲気の作品だからです。
結も晴人も、良い人でも素敵でもありません。お互いのことを良いとも思ってもいません。晴人が結とデートしたがるのは、自分の無念を晴らしたいから。でも、そんな二人が不本意ながらも共同生活し、デートするうちに、お互いが変わっていくところが飾り気なく描かれていて、本当に良い作品だと思いました。