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一切無駄のない作品
この作品は子どもも楽しめるアニメ映画でありながら、一切無駄な場面のない素晴らしい作品です。まず、登場人物1人ひとりの行動や発言が、それがたとえサブキャラであっても、後のストーリーの仕掛けになっています。些細だと思っていた場面にも、実は重要な意味が隠されているため、何度観ても飽きることがありません。本作のもう一つの魅力は、キャラクターがそれぞれ個性的であるということです。Mr. インクレディブル(ボブ・パー)は強靭なパワーの持ち主であり、何でも自分一人の力でできると思い込んでいました。その考えが、子供時代はMr. インクレディブルの大ファンであったシンドローム(子供の頃はインクレディボーイと名乗る)の心を傷つけ、恨みを買う原因となってしまいます。Mr. インクレディブルひとりではシンドロームの脅威に打ち負かされそうになりましたが、妻であるイラスティガール(ヘレン・パー)や、両親のスーパーパワーを受け継ぐ娘息子たちのヴァイオレットやダッシュなどの協力により、シンドロームを倒すことに成功します。一人ひとり特別な能力を持つヒーローでありながら、それぞれの悩みを抱えて生活する姿が、ただ単に正義のヒーローが悪を滅ぼすというストーリーに彩りを加えているように感じます。