テーマ的には少女漫画的でもある
『ONE PIECE』がどこか少年漫画的でないのは、「スーパーヒーロー」が登場しない点だろう。
ルフィは料理も作れないし、嘘もつけないし、人も治せない。どちらかと言うと「何もできない」人間である。ルフィの仲間たちはみな、できないなりに協力し合って強くなって生きている。それは、ちょっと「有り得ない」ことでもある。なぜなら現実では、このように上手いこと「仲間」を見つけることはできない。人は相手の「できる面」ばかりに気を取られて、「できない面」があるとただ「落胆」し、できる面のことを忘れてしまったりする。人は人を一面的な評価でしか考えることができないのだ。だから、このように、できるところを任せて、できないところは「自分が能動的に助ける」という仲間を得るには、できるところ、できないところを同時にPRし、なおかつそれを受け入れてもらえるだけの「優しさ」と「頭の柔軟さ」が相手にもないといけないのだ。僕が思うにそのような人間は100人中5%くらいでしかなく、まぁそれだけルフィが「仲間になろう」とオファーをしているのかもしれないが、ここまで1年足らずで仲間ができるというのは「有り得ない」ところでもある。そのような運頼りなところが、少女漫画的ではあるだろう。要するに『ONE PIECE』は、少女漫画と少年漫画の中間にある作品である。