火ノ丸相撲

火ノ丸相撲

『火ノ丸相撲』とは川田による漫画で、『週刊少年ジャンプ』で2014年~2019年まで連載していた。2018年10月~2019年3月にはアニメ化もされた。横綱を志す少年、潮火ノ丸が主人公。体格が重要とされる相撲界において小柄な火ノ丸が大太刀高校相撲部での仲間と共に戦う姿が描かれている。本作は高校相撲編、大相撲編の2部作に分かれている。2014年には大相撲九州場所で、『週刊少年ジャンプ』創刊以来初の懸賞幕が出され、相撲の王道漫画となっている。

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火ノ丸相撲
10

熱く、運命に負けない愚直な少年の物語

大相撲の頂点・横綱を目指す少年、潮 火ノ丸の物語。彼はとても小柄で大相撲の身長制限に届かず。当然勝利も得られなかった。
中学相撲では地獄を味わう程、相撲の神様から見放された少年だった。しかし、諦めずに3年先に実を結ぶ稽古と己を磨き、愚直に努力して高校相撲の舞台にて、ようやく恵まれた環境と巡り会うことができた。

信頼出来る仲間との出会いや立ち塞がる強敵達、圧倒的な敗北を味わって、一度は心が折れかけても支えてくれる者達と、何より努力を重ねて戦い抜くその在り方。
彼の相撲は良い。小さい奴がでかい奴を投げ飛ばすのだから心躍らないわけがない。
何より味があるのは、彼だけじゃない。彼を取り巻く環境が全て尊い。

高校相撲の頂点、大横綱の息子、規格外の長身の力士。小さな彼へ立ち塞がる、あまりにも大きな強敵達。
それでも、支えてくれる仲間がいる。努力を許してくれる者達がいる。
歯を食いしばって死に物狂いで努力し続けて、どうにか乗り越えるその様は、運命だとかを投げ飛ばす力強い熱量を宿している。

仲間達の勝利、敗北。現実味が強くご都合主義に欠けるこの物語は、一勝の重みと尊さを実感させてくれる。
最後に漫画内で出てきたフレーズの中で最も好きなものを。

相撲。土俵上で廻しのみをつけて戦う、日本古来の武道であり。数少ない無差別級の格闘技。
故に、「大きく」「重く」ある者が絶対優位。高校相撲において。体重100キロを超える巨漢がひしめく中。横綱を目指さんとする彼の体はあまりに小さく、逞しく——気高い。