ザ・バンド

ザ・バンド

ザ・バンドはアメリカを拠点に活動したカナダのバンド。オリジナル・メンバーの全員が様々な楽器を演奏でき、多くのミュージシャンから尊敬されている。1989年にはカナダのCanadian Music Hall of Fameに殿堂入り、1994年にはロックの殿堂入りを果たした。
ザ・バンドはホークスというバンド名で活動していたが、1968年にザ・バンドに改名。『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』でデビューを果たす。シングルカットされた「ザ・ウェイト」は『イージー・ライダー』で使用されて人気を博した。続けて『ザ・バンド』や『ステージ・フライト』といったアルバムを発表していく。一方でメンバー間に摩擦が生じ始め、1976年の『アイランド』を最後に活動を停止。
その後はここで活動を行っていたが、1983年に再結成を果たす。

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ザ・バンド
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『ミュージック・フロム・ビッグピンク』について

『ミュージック・フロム・ビッグピンク』は、ロックの歴史に残る伝説のバンド、「ザ・バンド」の記念すべき第一作です。
1960~70年代のアメリカを代表するバンドでありながら、メンバー5人のうち、なんとアメリカ人はドラマーのレヴォン・ヘルムただ一人。それ以外の4人は、実質の音楽的リーダーと言えるロビー・ロバートソンを含めてすべてカナダ人です。
この特異なメンバー構成は、この時期のアメリカ文化を外から見る視点を生み出したという点で、重要です。
「ミュージック・フロム・ビッグピンク」では、フォークロア的な色彩が色濃く漂う中で、主流であったサイケデリックな手法を徹底的・意図的に排除し、農村の中で奏でられているような、土の匂いのするサウンドを展開しています。
ギター、ベース、ドラムといったオーソドックスな楽器だけでなく、オルガン、フィドルなど、伝統的な響きを持った楽器が印象的に使われています。
有名な「ウェイト」では、そのまま聖書を思い起こさせる歌詞の世界が展開され、アメリカ社会の不変の部分に触れるかのような感覚を味わいます。
最大の印象は一曲目「怒りの涙」。たそがれたオルガンとギターのデュエットで始まりますが、そこにとてつもなく重たいタムタムのサウンドがかぶさってきます。異世界です。