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ピアニストとして、最高レベルの実力を持つ、可愛くて優しいおかん
矢野顕子さんの曲を初めて聴いた時、妙な珍味を頂いた後のような、後々までも後を引く味わいが、脳内に残るような体験をしました。
彼女の声からは、いつもユーモア溢れる笑い声が聞こえてきます。軽い感覚があるその声質と、しっかりとしたピアノ演奏がベースに流れている感じからは、何故かいつも、心に大きな刻印を押され、確かな何かを残してくれるような思いにさせられます。
1つ1つの音がポロポロ?っとこぼれ落ちるように、軽いタッチのピアノ演奏なのですが、こぼれ落ちた音たちが、ふわふわーっと浮かび上がり、私の周りをぐるぐる回りながら、美しいメロディとなって登っていく感じです。
矢野顕子さんのピアノの実力が神レベルだと言われるのは、こういう感覚に満たしてくれる素晴らしい演奏ができる方だからだと思います。
彼女が普段から見ている景色やその眼差しは、曲の歌詞から伝わってきます。曲を聴けばすぐに、矢野顕子ワールドの中に迎え入れてくれる、そんな懐の大きな存在感を覚えます。
キュートな声質で物語り、失敗のない、確かなピアノ演奏が、彼女の声と踊り出す。すごくキュートで愛らしい表現を、完璧な演奏で包み込む、なんかとっても「おかん」って感じの魅力溢れる素敵なミュージシャンだと思います。