ミスト / The Mist

ミスト / The Mist

『ミスト』とは、スティーブン・キング原作フランク・ダラボン監督・脚本の2007年のアメリカ映画。
嵐が来た翌日突然正体不明の濃い霧が町を覆い、デヴィッドと息子ビリーは買い物先のスーパーから動けなくなってしまう。スーパーの倉庫で霧の中の“何か”と遭遇したデヴィッドは他の客に危険を知らせ、店のものを使いバリケードを施した。しかしその夜再び“何か”が店内まで侵入し皆パニックに陥る。正体不明の霧とその中に潜む“何か”、そしてスーパーに取り残された客たちの心理状態を描いたホラーサスペンス映画である。

koara0831n9のレビュー・評価・感想

ミスト / The Mist
8

霧に包まれた町…一寸先も見えない世界で、一歩踏み出すということ。

息子と共にスーパーマーケットに出かけた主人公。たどり着いたスーパーで、濃霧に包まれ身動きが取れなくなってしまう。
缶詰め状態のスーパーの中で、霧の中から突如現れる怪物たち。混乱を深める店内。狂信的な態度で人々の不安を煽っていく女…。
序盤は謎が多く、手探りな状況が続きますが、中盤からは息をのむ展開が続きます。ラストの展開は、見た人の心を引き裂くような展開に…果たして「霧」は晴れるのか。

〜ここからはネタバレを含みます〜

極限化に置かれた人間の異常で愚かな行動は、様々な映画で見られる光景ですが、この映画も同じ。観客を不安にさせるような場面やヘイトを集める演技が多く、その伏線がラストの衝撃をさらに深いものにするといっても過言ではありません。物語の主人公は後半、家に残してきた妻を探すために、スーパーで知り合った老夫婦と息子を連れて霧の中、車に乗って怪物たちのひしめく霧の中を進みますが、妻を助け出すことは叶いません。さらに、途中で車のガソリンも尽きてしまい、絶望的な状況に陥ります。
その解決策として主人公がとった行動は…老夫婦と息子を銃で撃ち、自分の命も絶つということでした。この判断に対しては、見ている側としては共感が持てる人が多いはず。それだけの絶望感と緊迫感が描かれています。問題はその後のシーンでした。
…息子たちの命を絶った後、主人公も自ら命を絶とうとしますが、銃の弾が尽きてしまいます。車の外に出て、怪物たちに命を差し出そうとする主人公。そこに霧の中からやってきたのは怪物ではなく、軍のトラックでした。霧は晴れ、次々と住民たちの乗った軍用トラックが主人公の横を通り過ぎていきます。冒頭のスーパーマーケットで、周囲の反対を押し切り、子供を助けに行った女性の姿もありました。あまりも悲しい展開に、きっと心を引き裂かれるでしょう。