DIR EN GREY

DIR EN GREY

「DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)」とは、1997年に大阪で結成されたビジュアル系ロックバンドである。メンバーは京、薫、Die、Toshiya、Shinyaの5人で、日本だけでなく世界的に活動している。幅広い音域をカバーするボーカルと、民族音楽のテイストを織り交ぜた楽曲が特徴。作詞はボーカルの京が担当し、人や自然の「痛み」が統一したテーマとして語られる。

okaraex23のレビュー・評価・感想

DIR EN GREY
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検索してはいけない!?「DIR EN GREY」の表現

DIR EN GREYというバンドをご存じだろうか?
彼らがどのようなバンドであるかを聞かれると、恐らく古参の1ヴィジュアル系というイメージの人が大半であるかもしれない。

これは正解でも不正解でもない。
デビューからの5年ほどはヴィジュアル系のくくりとしてメイクもしていたが、
海外進出以降からはメイクをしなくなった時期もあったし、近年はまたメイクするようにもなった。

ヴィジュアルの変遷はもちろんだが、サウンドの変遷も大きく変化を遂げ、近年では世界基準のヘヴィロックバンドとしてその地位を確立している。ハードでヘヴィな音楽が基準だが、優しいく美しいメロディのバラードなども見事に表現している。
公式サイトの紹介を借りれば「カテゴライズ不能かつ不要」なロックバンドである。

サウンドやヴィジュアルの変遷はめまぐるしく変化を遂げているが、一貫されているのはライブの激しさ、自らの傷をえぐるかのような痛々しいvocal京の詩世界、流通の際規制をかけられるほどの衝撃的・ショッキングな映像の作品(PV)。

DIR EN GREYを語る上で、彼らの映像作品への言及は避けて通れない。
(以下、少々グロテスクな表現がはいるので閲覧注意。)

お茶の間に衝撃と大クレームを巻き起こした初のミュージックステーションでのデビューシングル「残-zan-」のパフォーマンスでその伝説は幕をあける。

1stアルバム「GAUZE」は全曲が映像作品かされているが、収録曲「mazohyst of decadence」は人工中絶をテーマにした曲で、その内容もあいまって9分超にも及ぶ曲の映像全てが規制をかけられている。彼らの曲で始めて表現に規制をかけられた例である。(時を経て「AVERAGE PSYCHO」というインディーズから発売された映像作品でノーカット版が収録される。)

2ndアルバム「MACABRE」では歌詞カードの横に表記される数行の詩と画像が不安や恐怖をかき立てる。
「脈」のブックレットはカニバリズムを連想させるような表現に震えあがる。

3rdアルバム「鬼葬」ではサウンドも歌詞世界もよりハードに直接的に痛々しく表現され、シングルカットで出された「embryo」は歌詞をほぼ全て書換えるにいたらないとシングル発売されない事態に。
(アルバム版がオリジナルの歌詞であるが、近親相姦を表す歌詞のためシングルカット時の処置はあながち間違いではなかったのかもしれない。)

4thアルバム「VULGAR」で、バンドは一つの到達点にたどり着くが、リードトラック「OBSUCURE」が「mazohyst of decadence」以来の映像規制をされてしまう。
(吐瀉物を吐きまくる、内臓を食べる、花魁が血を吐くなど和製エログロホラーな世界観。こちらも後に「AVERAGE PSYCHO」という映像作品でノーカットで収録される)

5thアルバム「Withering to death.」では少年犯罪をテーマに、あまりに残酷な表現を用いたために映像に規制をかけられた「朔-saku-」、「朔-saku-」の後日談を描き、これまた規制をかけられた「鼓動」。
ただ、このアルバムが彼らの海外進出の大きな足がかりにもなったアルバムであるということは伝えておきたい。

6thアルバム「THE MARROW OF A BONE」ではより楽曲、表現もハードになっていく。
全編アニメーションで作成されたシングル「Agitated Screams of Maggots」は、アニメーションであるにもかかわらずここでもグロテスクな表現がされ、モザイク処理→放送禁止の憂き目に遭っている。

7thアルバム「UROBOROS」で、世界的な地位を確固たるものにする。
歌詞世界も戦争などに言及したような表現が多くなり、アルバムリードトラック「VINUSHUKA」では戦争の映像や原爆投下のシーンなども描写され、これも規制の対象となった。

8thアルバム「DUM SPIRO SPERO」はシングル「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」ではメンバーの体がえぐられる、腕が吹き飛ぶなどの表現がされたた彼らが発売する映像作品以外での音楽番組ではフル尺の映像が公開されることはなかった。

9thアルバム「ARCHE」は前作とはかわりメロディアスな楽曲が多い印象だが、リードトラックにしてアルバム最後を飾る「Revelation of mankind」ではもはやさすがというように暴力表現に規制が欠けられている。
内容的には「朔-saku-」、「鼓動」とリンクする内容になっている。

10thアルバム「The Insulated World」ではシングル「人間を被る」で細切れにされた人間がモザイクで移るなどして規制を施されYOUTUBEにアップされている。

以降のシングル「The World of Mercy」では未完のままpvが規制され公開され、現行最新シングル「朧」では綺麗なバラード調のメロディーの楽曲ながら、女性の腹からVo.京が生まれてくるという衝撃の内容である(歌詞もネグレクト・虐待・中絶を思わせる表現であるためと考える)

いかがだろうか。

ヴィジュアル、サウンド面はどんどんめまぐるしく変わる彼らだが、かっこいいと思う物を作る、「表現」することへの妥協を一切しない部分は、結成初期から少しもぶれることはない。

まずは怖い物見たさでもいい。
紹介した楽曲達を映像作品込みで見てみてはいかがだろうか。

きっと彼らの虜になるはずだ。