この風は、爽やかで優しい
1997年生まれ、岡山出身。2020年のメジャーデビュー以降、あっという間に音楽シーンの中心に立つ存在となったのが藤井風だ。
幼少期から様々な音楽に触れてきた彼は、中学時代にピアノ弾き語りによるカバー動画を多数YouTubeにアップしていた。その頃から覗かせていた才能の片鱗が、2020年に発表した「何なんw」で爆発。心地よいビート感と岡山弁の入り混じった独特な歌詞、そして20代とは思えないほどハスキーな歌声で、多くの音楽ファンを驚愕させた。
NHKのドキュメンタリーによると、本来ならデビュー以降は海外での活動を予定していたという藤井風。しかしコロナ禍によりそれは叶わず。それでも本人は特に悲観的にはならなかったそうだ。
そして同年5月にリリースされたファーストアルバム『HELP EVER HURT NEVER』は、彼の評価を決定づける一作となる。「常に助け、決して傷つけない」という彼のフィロソフィーが、未曾有の事態に巻き込まれ、混乱と欺瞞に満ちた私たちの心を、風のように優しく撫でてくれたのだ。
2021年は3作の配信シングルをリリースし、9月には日産スタジアムで無観客ライブを行った藤井風。彼の歌は、この時代に鳴るべくして鳴っている。