世界から猫が消えたなら / If Cats Disappeared from the World

世界から猫が消えたなら / If Cats Disappeared from the World

『世界から猫が消えたなら』とは日本で作成されたドキュメンタリー要素のあるファンタジー作品である。2012年に発行された原作の『世界から猫が消えたなら』は、翌年の2013年に本屋大賞にノミネートされた。そして2016年3月に単行本と文庫本を含めた累計発行部数が101万5000部になり、同年の5月に映画が公開された。自分の身の周りから物が消え、それに関連した人間関係も同時に消えていく体験をするストーリーでは、主人公とともに人生において大切なものに気付くことができる映画となっている。

sudacchi_1351x3のレビュー・評価・感想

世界から猫が消えたなら / If Cats Disappeared from the World
9

どうしても気持ちが晴れない日に、「世界から猫が消えたなら」

「世界から猫が消えたなら、この世界はどう変わるのだろうか」
この一文から始まる、「世界から猫が消えたなら」。日々の生活で疲れたあなたに、必要な栄養がすべて詰まっています。
この作品は、川村元気さんの小説であり、主演佐藤健さんで映画化もされています。
世界から自分が消えたなら。大人になるまでに一度は考えたことがあると思います。きっと死んでも、何も起こらないと知ったのはいつだったでしょうか。主人公は平凡な僕。病で死ぬ運命を前に現れたのは、一日に一つ、何かを世界から消すことで寿命を延ばす悪魔でした。
私たちは、日々替えが効くような毎日を繰り返しているように錯覚しています。一人一人かけがえのない人間だと思ってはいても、そうでない行動をとってしまう。あなたは“何者”なのか。この本は主人公の人生を履歴書のように書き連ねた説明書ではなく、一つ一つ失うことで、僕とは“何者”なのか。僕にとって大切なものは何だったのか、思い出させてくれます。
競争社会に生きる我々は、ついつい人の長所、短所、実績や経験に目がいってしまいがちですが、ここまで読めば本当に必要なものは、この作品に詰まっていることがわかると思います。小説も映画もそれぞれの良さが引き出された素晴らしい作品です。後悔はしません。ぜひお試しください。