サムライせんせいという不思議なギャグ調漫画
サムライせんせいという作品をご存じでしょうか。幕末の時代から現代にタイムスリップした「武市半平太」という武士が、現代の波にもまれながら懐かしい面々と再会するという内容です。軸となるのは武市半平太と岡田以蔵の師弟ですが、坂本龍馬などの有名人も登場し、全体的にコミカルな雰囲気で物語が進展します。独特のギャグのテンポ感とシリアスさの混じり合いは、なんだか癖になるものがあります。また、坂本龍馬は陸奥宗光とも再会するのですが、この二人の距離感と武市・岡田の距離感の対比がとても興味深く、面白いです。坂本・陸奥が過去の確執をさっさと乗り越えて楽しそうにしているのに対し、武市・岡田は依然こじれたままという感じです。それに思い悩む武市・岡田の在り方は共感する方もいらっしゃるのではないでしょうか。さらに、この作品はキャラクターの作り込みがとても上手だと感じます。他作品ではあまり触れられない武市の温厚篤実さや坂本の明るくムードメーカーなキャラ付けも史実をしっかり組んでいることが感じられ、もとになった偉人への敬意が現れていると感じさせられます。歴史もの好きの人にもそうでない人でも楽しめる作品です。これを機に歴史系漫画にも手をつけてみてはいかがでしょう。