ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 / Life of Pi

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 / Life of Pi

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』とは、ベストセラー小説「パイの物語」を実写化した冒険映画。神を愛し命を信じた少年に起こった唯一無二のサバイバル・アドベンチャー。新天地を求めて航海中だった少年とその家族は嵐に見舞われ不運にも船は沈没。1人生き残った少年はトラと救命ボートに乗っていた。227日間にも及んだ漂流生活をどのように生き抜いたのか。圧巻の映像美と実話を元にした奇跡の連続に心奪われる名作。第85回アカデミー賞最多4部門受賞のほかゴールデン・グローブ賞にも輝いた。

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ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 / Life of Pi
9

少年がトラと漂流する227日を描いたライフ・オブ・パイ 結末で明らかになる恐ろしい真実。

大人になったパイ(漂流した少年)がインタビューを受ける所から始まるこの映画は、パイというインドの少年が動物園を営む家族とカナダに移住するために、動物を乗せた貨物船で海に出ます。
しかし航海の途中でとても激しい嵐に巻き込まれ、船は海の底へ沈んでしまいます。
嵐が去った頃パイは小さな小舟で目を覚ますのですが、そこにはオランウータン、シマウマ、ハイエナ、そしてこれから長い間一緒に過ごす事になるトラ(リチャード・パーカー)がいます。
この動物達が実は話の鍵を握っている。

映画だとよく人間と動物が心を通わせる描写がありますが、この映画のトラはそんな事はなく、腹が減れば他の動物を食おうとしたり、パイにも問答無用で襲い掛かって来る。これがまたリアルで見ていてドキドキします。
ただでさえ大変な状況なのにトラがいつ襲ってくるかわからないなんて命がいくつあっても足りません。

そして映画の舞台は壮大で果てしなく広がる海という事で、幾度となく自然の脅威がパイを襲います。
巨大な波、大雨、容赦なく照りつける太陽。そのせいで徐々に船は壊れ、食料や水も減っていきみるみる追い詰められて行くパイ。
途中嵐が来て缶詰めが大量に流されていったときは本当に可哀想でしたね。
それでもパイは魚を取ろうと海に飛び込み溺れかけているトラを助けたり、トラを見て笑ったりたまに見せる心の余裕も凄いです(情緒不安定か?笑)。

また、忘れてはいけないのがCGで描かれた自然が魅せる神秘的で幻想的な世界。
クラゲの青く淡い光や魚の大群、果ては流れ着いた無人島が夜に見せる違う顔。画面に引き込まれてしまう程の綺麗な映像が映し出されます。
クジラが海から飛び出して来た時は圧巻の一言でした。

そんな絶望的な状況を乗り越え、最後はやっと有人の陸地に流れ着きなんとか危機を脱します。
町の男達が泣きじゃくるパイを担いで病院へ向かおうとする中トラは一人、森へ姿を消してしまいます。
一度も振り返らずに……。

と、この映画。なにはともあれ無事に生きて帰れて良かったね。おしまい。
なんて簡単なファンタジーではありません。この漂流中の出来事はパイが記者にインタビューで語った話。
そもそも事件当時警察はパイから聞いた話を信じようとはしませんでした。まぁそれもそうかと。
そしてライフ・オブ・パイには実際に起きたよく似た事件があります。
それは沈没した船から生き残った数人が同じように漂流し、食料もないので人を……という話。
ギリギリの状況下での選択。犠牲者の名前はリチャード・パーカー。これは……(察し)。
この映画は2回見る事をオススメします。勿論違う視点で。
どちらが真実か、と決めるかは視聴者次第です。

ちなみにパイが漂流する本題に入るまで長いと感じるかもしれませんが、伏線がちりばめられていますので見逃さないように。