2021年人気オススメ漫画!
『このマンガがすごい!2021』のオンナ部門にて『女の園の星』、『カラオケ行こ!』の2作品が1位と5位にランクイン。
第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部新人賞や第、24回手塚治虫文化賞短編賞も受賞した『夢中さ、きみに。』はドラマ化が決定するなど、大注目の和山やま先生。
皆さんはもう読まれましたか?
どれも至高の作品ですが、中でも「カラオケ行こ!」を是非オススメする理由をご紹介します。
『カラオケ行こ!』は一巻完結済みの作品で、約160ページを通して一つの物語が描かれ、テーマ性も高く、登場人物への感情移入もしやすくなっています。
和山やま先生特有の淡々としたシュールなギャグもふんだんに散りばめられながら、泣ける展開や、見事なまでの伏線の回収もあり、非常に満足度の高い構成になっています。
主人公は合唱部部長の『岡聡美』という男子中学生です。
中学3年生である聡美は卒業前最後の合唱祭を目前にして、変声期を迎えてしまいます。
合唱祭では部長としてソリのパートを任されますが、声変わりの予兆に気がついていた顧問は万一の場合の代役を指名するのです。
成長の証として仕方のないことだと頭では理解しつつも、自分の声に裏切られたような気持ちになり、聡美はどんどん落ち込んでいきます。
“合唱部の男子中学生が変声期に悩む話”としてだけでもストーリーが描けそうですが、そこに思いもよらぬ要素を足して唯一無二の世界観を築き上げるのが和山やま先生の真髄です。
悩める聡美の前に現れるのは、『成田狂児』というアラフォーのヤクザです。
唐突に現れた狂児の存在が、タイトルにも繋がり、また、変わりゆく自分を受け止めきれない聡美が殻をやぶる大きなきっかけになっていきます。
中学生とヤクザ。
現実ではおよそ交わることのない属性のキャラクターが引き合わされますが、そんな2人の友人以上恋人未満のような絶妙な関係性ももう一つの魅力です。
和山やま先生ご自身もブロマンスを意識されて描かれているそうです。
BL的直接表現はありませんが、段々と深まっていく2人の異色な友情に心温まります。