Kraftwerk / クラフトワーク

Kraftwerk / クラフトワーク

クラフトワーク(独: Kraftwerk)とは、1970年に結成されたドイツの電子音楽グループである。ラルフ・ヒュッターとフローリアン・シュナイダーによって設立され、クラウトロックの代表格およびテクノポップを開拓した先駆者として知られる。電子音楽やポピュラー・音楽全般に多大な影響を与え、メディアからは「エレクトロニック・ダンス・ミュージックのビートルズ」と称された。2014年、2015年、2018年にグラミー賞を受賞し、2021年にはロックの殿堂入りを果たした。
結成と初期の活動において、1960年代半ばに私立ロベルト・シューマン大学で出会ったラルフとフローリアンは、インダストリアル・ミュージックへの関心から前身バンドを経てクラフトワークを結成した。英米文化の模倣を避け、ドイツ人としての独自のアイデンティティを打ち出した彼らは、初期には即興的かつ実験的なインダストリアル・サウンドを展開し、バズコックスやスージー・アンド・ザ・バンシーズなどの後進に大きな影響を与えた。数回のメンバーチェンジを経ながら、自らアルバムジャケットの制作や楽器の改造・開発を行う独自のDIY精神を確立した。なお、初期メンバーであったクラウス・ディンガーとミヒャエル・ローターは脱退後にバンド「ノイ!」を結成した。
1974年に発表した4枚目のアルバム『アウトバーン』の世界的ヒットにより、最初の全盛期を迎えた。同作ではミニモーグや自作の電子パーカッションを駆使し、それまでシンセサイザーが従属的・瞑想的に扱われていた傾向を覆し、20分を超える電子音主体のポップ・ミュージックとして昇華させた。新メンバーのカール・バルトスやヴォルフガング・フリューアが加わった体制で初のアメリカツアーを敢行し、その音楽性や無機質で禁欲的なステージングはオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク、デヴィッド・ボウイ、ジョイ・ディヴィジョンなどのアーティストに多大な衝撃を与えた。また、1978年のアルバム『人間解体』は日本におけるテクノポップの成立やイエロー・マジック・オーケストラの結成コンセプトにも決定的な影響を与えた。1981年のアルバム『コンピューター・ワールド』発表時には大規模なワールドツアーを実施した。
1980年代以降、アフリカ・バンバータによる「Planet Rock」での楽曲サンプリングをきっかけにヒップホップやエレクトロ・ファンクの創出に貢献したほか、ホアン・アトキンスやデリック・メイらを通じてデトロイト・テクノの起源となるなど、クラブ・カルチャーやダンス・ミュージックの分野からも絶大なリスペクトを獲得した。しかし、アルバム制作の難航や方向性を巡る葛藤から、1980年代末から1990年代初頭にかけてヴォルフガングとカールが相次いで離脱した。
1990年代以降はエンジニアのフリッツ・ヒルパートとヘニング・シュミッツを迎えて活動を再開し、大型フェスティバルのヘッドライナーや世界ツアーを精力的に展開した。2003年には17年ぶりとなるオリジナルアルバム『ツール・ド・フランス』を発表した。2009年に創設メンバーのフローリアン・シュナイダーが脱退し、ラルフ・ヒュッターを中心とした体制へ移行して以降も、3D映像を融合させた公演など精力的な活動を継続している。

h_tksのレビュー・評価・感想

Kraftwerk / クラフトワーク
10

テクノの神様

『クラフトワーク』はドイツ出身のテクノポップバンドで、電子音楽の先駆けと言われています。前衛的な音楽からはじまり、徐々にポップ化していき、そしてシンセサイザーを使用したスタイルを確立していきます。出世作『アウトバーン』では一定のリズムを淡々と刻み、それまでグルーヴさせることが当たり前だった概念を覆します。ここから世間的にも注目され、テクノポップの元祖となりました。扱うテーマをアイコン化し、自身たちもロボットの様な出で立ちや振る舞いをすることでコンセプトが明確になっていき、日本のテクノポップバンドである『イエローマジックオーケストラ』等にも多大な影響を与えることになります。またテクノロジーの発展に比例するように、最新機器を導入することにも余念がありませんでした。シーケンサーを導入し、サンプリングの活用のみならずステージ上ではパソコンを操作しながらライブを敢行するなどイメージ戦略も抜かりがなく、日本の『電気グルーヴ』や『サカナクション』といった後世のアーティストのお手本ともなっています。ちなみに『アウトバーン』以前に三枚のアルバムを発表していますが、アーティストの意思により、非公式という扱いになっています。ですが、テクノポップの先駆けとしては重要であり、中古レコードショップなどでも見かけることがあるのでぜひ手に取っていただきたいと思います。