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福山雅治
キャリア30年を越えてもなお、最前線を走り続けるトッププレーヤー、福山雅治。
そのキャリアが示す通り、年々音楽家としての表現方法が深みを増している。
ライブではギター小僧のような無邪気さも垣間見ることができるが、一般的には俳優であるイメージが大きいだろう。
ギター1本もって九州から上京した彼は、俳優、音楽家、写真家など多くの経験を経て表現力を増して行った。
これほどまでに自身の経験を活かせるミュージシャンが他にいるだろうか。
そのキャリアのアニバーサリーとして発表された12枚目のアルバム。
タイトルは「AKIRA」。
その由来は父の名前。
これまでのアルバムに比べて全体的にディープでダークなイメージを持つ。
脈々と続く彼自身の血のつながりをアルバムを通して感じることができる1枚。
サウンドクオリティも高く、質のいい上質なポップミュージックに昇華している。
それまでに彼自身が経験、体験したことを音を通して感じることができる。
表題である「AKIRA」から始まり、「彼方へ」までがとても上質で、まるで彼自身と一緒に旅をしているかのよう。
特にアルバム発売直前にデジタルシングルとして発表された「心音」はとてもピュアで珠玉のラヴソング。
好きといえないもどかしい気持ちを女性目線で丁寧に、その情景を表現している。
女性目線で作られた歌を歌わせて、右に出るものはいないのではないだろうか。