ヴィンセントが教えてくれたこと

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ヴィンセントが教えてくれたこと
8

高齢アル中ギャンブラーを描く「ヴィンセントが教えてくれたこと」

2014年に公開された今作は、ビル・マーレイ主演のコメディドラマだ。ビル・マーレイが演じるヴィンセントという高齢の男は、毎日のように賭け事、酒、女、タバコに依存する日々。
ある日、自宅に生えていた木の枝を、隣に越して来たブロスタイン一家に雇われた引っ越し業者が折ってしまう。その事故でヴィンセントは「テラスもお宅の引っ越し業者が壊した」と言うが、実はそれは嘘。本当は、ヴィンセントの車の運転が日頃から荒く、自ら壊したものをそのままにしていたのだが、引っ越して来たばかりのお隣さんは、その事実を知らず、弁償すると言ってしまう。
引っ越しを終え、母と子供の二人暮らしをはじめたばかりのブロンスタイン一家だったが、息子のマギーは初めて行った学校でクラスメートの一人から目を付けられ、自分のスマホや自宅のカギを隠されてしまう。
何とか自力で自宅まで戻ってきたマギー。しかし、母親オリヴァーはまだ勤務中。家の中に入れないマギーは、ヴィンセントに電話を借りることにする。マギーはオリヴァーへ連絡し、仕事が終わるまでヴィンセントの家にいさせて貰うことになる。
ヴィンセントは「子守りは有料だ。」と言ってろくにマギーの面倒も見ずにオリヴァーからお金を受け取るのだったが、マギーはヴィンセントのことを悪い人という印象を持たず、面白い人と思うようになる。
あまり人と関わらず、ギャンブルに熱中するヴィンセントだが、実は施設で暮らす最愛の妻がいた。
しかし既に施設の料金を滞納しており、すぐに支払いをしなければ妻は違う施設に送られてしまうところだった。
一攫千金を狙うヴィンセントは、マギーの子守り中に競馬に連れていき実際にオッズをかけ、何とたまたま当たってしまう。そこから少しずつ人と打ち解けていくヴィンセントの様子を見ていると、自分もいつギャンブルか酒におぼれるか分からないと感じた。
ヴィンセントは妻が認知症になり8年間、夫だと認識されず寂しい毎日を愛猫とわびしく暮らしていたのだ。一見最低な男に見える彼だが、愛した女性はたった一人。
その後最高級の施設で彼女は最期を迎え、辛く、悲しい状況となるが、マギーが学校の発表会で偉人を紹介する時、ヴィンセントを学校へ招待し、ヴィンセントの過去の栄光を発表。彼を偉人だと認め、発表会を見に来ていた人たちから大きな拍手を貰うのでした。