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稀代のビートメイカー「フライングロータス」
このLAに住むビートメイカーは、ビートミュージックシーンの流れを大きく変えた人物です。
叔父と叔母にジョンコルトレーン、アリスコルトレーンがいるジャズ一家の中、自分の存在意義をビートミュージックで表すことで、近年のジャズとヒップホップが大きく接近した要因の一つだと思います。
Jディラに憧れた彼は二番煎じにはならず、大きく揺れるビートと、それを覆うアブストラクトな音像をいくつも重ねたレイヤーは、「フライングロータス以降」という言葉が使われるほど衝撃的でした。
また、もともと映画の学校に行っていた経験から、自ら監督として作品を作り出したり、ライブ時での特殊な映像方法は、単に耳だけを刺激するものではない。視覚聴覚の両方から与える中毒性を完全に理解した上で、ショーケースを行う繊細さと大胆さを持ち合わせたパフォーマンスは、家で音楽を楽しむことと、ライブ会場で生で音を味わうことの楽しみを常に与えてくれる存在です。
自ら楽器を学んだことが作品に反映され、初期のビートミュージックからジャズを経由して、フュージョンのような多彩な音楽を発信しています。
1000年に一度のミュージシャンと称賛していた方もいましたが、この言葉以上の活躍をリアルタイムで観られることは幸せなのかもしれません。