劇場版 のんのんびより ばけーしょん

劇場版 のんのんびより ばけーしょん

『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』とは、2018年に公開されたアニメーション映画である。原作は、あっとによる漫画『のんのんびより』。ストーリーは、とある田舎の学校「旭丘分校」に通う5人がデパートの福引で当てたチケットを持って、夏休みに沖縄旅行へ出かけるところから始まる。

siva61のレビュー・評価・感想

劇場版 のんのんびより ばけーしょん
9

のどかな時間を切り取った秀作

本作品は、もともとは田舎の分校に通う4人の少女を中心とした日常系漫画で、「のんのんびより」と「のんのんびより りぴーと」とこれまで2回アニメ化が行われてきた作品の劇場版です。
ひょんなことから町のデパートへ出かけることになったれんげ達、そこで越谷家長男の卓がくじ引きで沖縄旅行を引き当て、れんげ達で出かけることになります。そして、沖縄の地で新たな出会いと別れがあり少女たちは一夏の思い出を作る、というのが大筋です。
これまでの山奥の田舎とは異なり、沖縄という極彩色な土地を舞台にしているため、まず繊細かつ色鮮やかな背景美術には目を奪われることでしょう。また、作品本編における人物関係や、感情変化の機微を繊細に描き分ける手法は実に素晴らしいと思います。特に今作は「友情の形成」をテーマにしているようで、田舎で同い年がいない状況の少女が、違う土地の同い年の子と出会ったらどうなるか?という問いの設定から、友情の芽生え、そして別れに至るまでのプロセスを丁寧に描いているところに好感がもてます。また、単純に子供の頃の夏休みの思い出を回想するきっかけにもなるノスタルジーに溢れた作品であり、アニメや原作を知らなくても全年齢で楽しめる映画といえるでしょう。