最初っから全力系主人公とかいうトリコさん
まず、世界観として、美味しい食材を調達するにはべらぼうに強くなければならず、更に美味しいものを食べるとべらぼうに強くなれる、という『食欲』や『野生』をテーマにした作品です。
この作品の面白いところは主人公が常に全力なところで、他の漫画だと敵と戦うときに最初っから主人公が本気を出して必殺技を連発するなんてことは滅多になく、ドラゴンボールでも悟空は最初からスーパーサイヤ人ブルーで戦いませんし、ワンピースのルフィも最初っからギア4で戦いません。
バトルではありませんが、黒子のバスケも火神は最初からゾーンに入ることはほとんどありません。
私は、昔からそういう主人公たちに対して「なんで最初から本気出さないんだ?」と疑問に思っていました。
しかしこの漫画の主人公であるトリコは、普段は理知的ですが、戦いになれば野生的でどの戦いにおいても最初っから全力で戦い、前回の戦いで得た大技を初手でかますことがほとんどです。
敵も本気ですので、普通に手が潰されても潰れた腕でぶん殴ったり、その腕がもげるのもお構いなしだったりで、まさにテーマにもなっている「食うか食われるか」の野生の勝負を見ているようです。
そのせいか、敵が強いと直ぐに追い詰められるのですが、そこは主人公。
追い詰められる度に限界を超えて成長します。
最初っから全力なので常にバトルがクライマックスのような状態で、ハラハラもしますがテンポや爽快感が格別なので、読んでいて気持ちいいです。
また大技を連続で何度も叩き込まれたり、反対に叩き込んだり、体が文字通りボロボロになりながらも戦う姿や、戦闘以外でもトリコ自身が一貫した価値観を持っているのも魅力でしょうね。
好き嫌いは別れるかもしれませんが、個人的にかなりオススメの漫画です。