彩りを感じられる名作
難病を患い、余命わずかになった浜辺美波演じる「桜良」と、唯一その秘密を知るクラスメイト、北村匠海演じる「僕」が織りなす切ない青春ドラマ。
作画の綺麗さはもちろんだが、人物の感情や想い、成長が画面を通してひしひしと感じられ、色鮮やかに映った。
特に、明暗のコントラストが印象的である。
迫り来る病気の足音におびえながらも人前では明るく振る舞おうとする「桜良」。
しかし、1人になったときにはその恐怖に押しつぶされそうになる。
「僕」という信頼できる人と出会い、限られた時間を一緒に過ごす中で無理矢理の明るさではなく、心から生を楽しむようになっていった。
しかし、楽しい時間は無慈悲にも、通り魔の手によって突然終わりを告げる。
この「桜良」の人生は、リアルを生きる私たちの人生と大きく違わないだろう。
楽しいことが永遠と続くわけでもなく、かといって苦しい出来事が永遠と続くわけでもない。
人の命に絶対はなく、何かの拍子に突然こぼれ落ちてしまう命も存在するのだ。
この等身大の「桜良」の人生が、私たちを作品により引き込んでいく要因だと思う。
ぜひ、自分の人生を振り返りながら見ていってほしい。