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古い歌、と決めつけることなかれ
藤山一郎という名前を聞いてピンと来る人は、恐らくかなり年配の方ではないかと思います。それもそのはず、藤山一郎は第二次世界大戦より前から活躍していた歌手だからです。
しかし「古臭い昭和の歌か」と決めつけては実にもったいないです。藤山一郎の歌声は、全盛期から晩年にかけても決して色褪せることのない、美しい響きを持っています。そして、曲調が実に軽やかでおしゃれです。『僕の青春』、『キャンプ小唄』などは、聴いたことがなくてもスッと入ってきて、華やかな気分にさせてくれます。ちょっとガツンとしたものを聴きたいときは『東京ラプソディー』などがいいでしょう。
比較的幅広い年代に知られているのは『青い山脈』、『丘を越えて』あたりでしょう。
『青い山脈』は聴いて良し、歌って良し。年配の方と打ち解けたいという若い人がいれば「私、『青い山脈』が好きなんですよ」というのはなかなかのキラーフレーズになるかと思います。
『丘を越えて』は、歌はもちろん前奏も間奏も楽しむことができ、年代を問わず受け入れられる、明るく軽やかな歌です。聴き終わる頃には気持ちが満たされて明るくなるのを感じられるかと思います。
藤山一郎は実に多くの歌を残しているので、飽きのこないところも魅力のひとつかと思います。