10
ダイナミックな戦闘描写
黒い鎧に身を包んだ大男『ガッツ』が、その身の丈に迫るほどの巨大な大剣や、義手に仕込まれた大砲や投げナイフなど用い、『使徒』と呼ばれる異形の化け物と戦いを繰り広げる物語。この作品の魅力は何といってもその『戦いぶり』。ガッツは人並み外れた巨躯の持ち主であり、その身を覆う甲冑には数え切れない程の武具が詰め込まれている。特にガッツの背負う大剣は桁外れの大きさでありながら、彼はそれを容易く振るい、その一撃は甲冑を纏った兵士を諸共薙ぎ払えてしまえる程。その力、その技は人の限界に差し迫る程に鍛え上げられているが、しかしガッツはあくまでも人間。それ程の実力を持ってしても使徒との戦いでは苦戦を強いられ、不利となることも少なくない。だが、ガッツはそれに鬼気迫るほどの執念だけで喰らいつき、最後には強大な使徒をも追い詰める。その生き様は同族である人間のみならず、敵である使徒たちをも震え上がらせる、正しく狂戦士そのものである。何故彼は戦うのか。なぜ、彼はそれ程までに使徒たちへ憎悪を燃やしているのだろうか。残酷、そしてグロテスクな描写の多い本作。ガッツに対しても容赦なく不幸や絶望は振りかかるが、彼は如何なる困難にも屈せずに立ち向かっていく。