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はじまりのうた レビュー
家族とも自らが立ち上げたレーベルとも上手くいかず絶望する音楽プロデューサーのダンが、酒場で自作の曲を歌う女性グレタと出会うところから物話が始まります。彼女はミュージシャンの彼氏に裏切られ、ダンと同じく失意の中、友人の誘いで酒場を訪れていたのでした。グレタのソングライティングの才能を見出したダンは、彼女の曲をNYの街中でゲリラ的にレコーディングすることにします。
ざっくり言えばストーリーはこんな感じです。
この映画の魅力の一つは音楽です。NYの街中でレコーディングする曲全てが映画オリジナルなのですが、どれも素晴らしいです。ロック好きな人にはたまらないです。
そしてそれと並行してダン、グレタ、彼らを中心とした人間関係のドラマが展開されていきます。セリフだけではなくて登場人物たちのほんのちょっとした表情、仕草、動作、一つ一つのシーンの描写に意味があり、何度も繰り返して時間をかけてじっくりじっくり楽しめる映画だと思います。
僕が好きなのがエンディングです。夜の街を自転車で駆けるグレタの表情がなんとも晴れやかで、過去を断ち切り、未来に向かう希望が描かれていて爽快です。
見終わったあとに心にじんわりと余韻が残る映画です。ぜひご覧ください。