波と炎のスーパーガール あいみょん
あいみょんの凄さを一言で言えば「郷愁」です。
あいみょんのどの曲を聴いてもどこか懐かしい気持ちになり、2歳3歳の頃のまだ何もブレーキがない純粋で真っ直ぐな在り方を、聴く人に思い返させる音楽です。
特に『漂白』という曲を聴くと、始めの荒々しいギターリフの、現実の重みを感じさせる音から少しずつバンドの音が重なっていき、気が付いたら一気に夢に引きずり込まれるようにサビ→大サビに向かって音が流れていき、最後に再びギターリフの音に帰ってきます。
まるで映画の主人公が、現実の世界からあることをきっかけに非現実世界に行き成長を遂げて再び現実世界に戻ってくるかのような、物語性を感じることができます。
普通のアーティストであれば、同じ人物が作詞作曲するので似たようなコード進行や編曲になりがちですが、あいみょんはどの曲も、言ってしまえば全曲が「まったく別人が作ったのではないか」と思うほど物語があり、すべての曲に全く別の感動があります。
海を眺めた時に、全く同じ場所であるはずなのにその時によって違う印象や感動を受けることがあると思います。
それでいていつも同じ安心感がある。
あいみょんの曲は海を眺めた時と同じように、同じ曲であっても聴く時によって全く違う感動があるのと同時に全く同じ安心感を得ることができます。
「海の波や炎のように、常に揺れて流れて変化をする。それでいて同じ安心感、懐かしさがある」という相反する魅力があいみょんの曲にはあり、波と炎のスーパーガールなのだと思います。