嘘を愛する女

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嘘を愛する女
9

「愛さえも嘘ですか?」というキャッチコピーが意味深。

長澤まさみさん演じる由香利と、その恋人の桔平(高橋一生)の愛の物語です。
映画の冒頭から伏線があり、徐々に桔平の「本当の人間性」が分かっていく展開です。
由香利は、駅で体調が悪くなったところを桔平に助けてもらいます。彼女はキャリアウーマンで、仕事をばりばりこなす人。一方の桔平は、家事はしてくれるけれど仕事には就いていません。
ある日由香利は、桔平がくも膜下出血で倒れたという連絡を受けます。しかし病院にいくと、彼の名前から生年月日、すべてが「嘘」であることがわかります。「今まで一緒にいたこの男は誰なんだ」ということになり、由香利は私立探偵の匠(吉田鋼太郎)と桔平の調査を始めます。
桔平はいつも、決まった場所で小説を書いていたことが分かり、由香利はその物語の舞台である島へ向かう。

映画を色で表すとしたらずっとグレーな感じで、桔平の本当の正体がなかなか分かりません。ミステリアスな感じなのですが、長澤さんと吉田さんの、トラブルが起きながらも調査を続けるところに「冒険」の要素もあって、物語に惹きこまれました。

ようやく桔平は前妻を自殺で亡くしていたことが分かりました。そして、物語の冒頭へ。桔平は、愛する人を亡くした悲しみと絶望のなかで由香利と駅で出会うのです。
調査の鍵である、桔平が何百枚と書き続けていた小説の主人公は、実は由香利であったことが分かります。桔平が悲しみを克服し、由香利ともう一度生きていくことを望んで書かれていた小説でした。
このエンディングには涙しました。私は、二人の愛は本物だと思います。