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懐かしくて新しい音楽
スカートというバンドは、澤部渡さんのソロプロジェクトです。インディーズ時代から高い音楽性で評価を得ていましたが、箱根駅伝での缶ビールのCMに起用されてから、かなり話題になり始めました。CDのジャケットもデザイン性が高く、ノスタルジックで、30代以上の人たちには直撃するのではないでしょうか。澤部さんはお世辞にもルックスが良いとは言えず、ずんぐりむっくりとしているのですが、その体格のお陰もあってか、非常に透明感のある声質をしています。メロディも穏やかで優しく、どことなくスピッツの雰囲気と、いくつかの渋谷系をミックスした感じの聞きやすさを持っています。ポップソングを徹底的に研究したという音楽性は、3分程度の曲が多く、聞きやすい構成をしている点にも表れています。「遠い春」などの代表曲は、アレンジも非常に凝っていて、ソロプロジェクトとは思えません。文学性の高い歌詞も魅力的で、青春の寂しさを描かせて謳わせたら今のシーンで右に出る歌手はいないと思います。近年では国民的アニメ「ドラえもん」の音楽制作にも携わっていて、今後の日本のミュージックシーンを支えていくであろうことが分かります。これからの音楽を知るうえで欠かせないアーティストです。