せんせいのお人形

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せんせいのお人形
10

読まないと人生損をすると感じた初めての作品。

作品の内容は現代の社会問題に沿ったものなのに、多分過去に発表されていたとしても、何年先に発表されていたとしても、全く色褪せないものだと感じる。時代を超えて普遍的な世界というか、美しい文学作品の様な、何だか独特の時間の流れを感じさせられる。そして、読んでいる自分が教育させられる。
身寄りの無い女の子が、遠い親戚に当たる教師の男性に引き取られる。正しく教育されていき、そして主人公やその周りの人々の成長や、心の在り方が描かれていくのだけれど、読み手もその中に混じって一緒に教育されたり、感情移入くらいではちょっと終わらせてくれそうにない感じで引き込まれていく。
登場人物がそれぞれ『ちょっと不器用でステキな感性の持ち主』なんだよなあ…。どうしても社会の大きな流れに乗り切れなくて、色々苦しんだり傷付いたり傷付けられたり、でも人を傷つける事は優しいからできない、そんな人たち。そう、作品全体が優しい空気なんだな。
そして、この作品はアプリで連載中なのだけれど、読者のコメント欄もまたステキな人達がコメントし合っていて読み応えがあるんだな。個人的にマンガ自体は紙でもWebでも読み倒してきたけれど、こんな崇高な空気を持った作品には暫くお目にかかっていなかった気がする。今の少女マンガ界のレジェンド達が初期に醸し出していた尖った空気とはまた違う、まさに今の空気の作品と言った感じを受けています。ぜひ一読あれ。必ず出会って良かったと思わせてくれます。