下ネタという概念が存在しない退屈な世界

下ネタという概念が存在しない退屈な世界

『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』とはガガガ文庫から刊行された赤城大空によるライトノベル。2015年にアニメ化された。
本作の世界では性的な表現が全面的に禁止されており、公序良俗健善法で性的な表現ができないようになっている。装着が義務付けられた小型端末PMによって、性的な言動をしてしまうとすぐさま感知され健善課による厳しい処分が下されてしまうのだ。そんな恐ろしい世の中で、下ネタを知らしめるべく華城綾女(かじょうあやめ)率いるSOXのメンバーが立ち上がる。

mhubertのレビュー・評価・感想

下ネタという概念が存在しない退屈な世界
5

徹底的に性に関する情報が規制されてしまった世界で生きる、若者たちの末路

「公序良俗健全育成法」という架空の法律が制定された世界、完全に性知識を奪われた社会で生きる若者たちは、性的な言葉(下ネタ)というものの存在すら知らない世界を生きている。
その影響で、若者たちはまともな性教育を受けていないために子作りができず、少子化が起きるほど徹底されている。…というトンデモ設定です。

主人公たちは様々な理由で「下ネタ」を知っていて、下ネタを再び社会に広めるべき活動していますが、やはりその世界の若者たちの大半は性を知りません。

中でもこの世界の被害者であり、自覚なく加害者になっているヒロインの一人が主人公たちが通う学園高等部の生徒会会長であるアンナ・錦ノ宮です。
公序良俗健全育成法と両親、周囲の教育により性知識も全く持たない状態にも関わらず、卑猥なものは全て悪とする認識を持ち、悪は絶対に許さないという考えを持っている。
この矛盾は、彼女が主人公に好意を持つようになった時に如実に現れてしまいます。
性知識がゼロのまま本能的に突き動かされる恋心は、欲情との区別がわからないために力づくで主人公へ性行為を行おうとするという、自身がもっとも嫌うはずの卑猥な行為の中でもひどい行動をしてしまっています。

どんどん規制が進んでいったらと、おそろしい想像が出来なくもない社会派アニメ…とは思えないお下品下ネタアニメです。