古くなっても、名作の良さは変わらないふたりの絆。
言わずと知れた、名匠・宮崎駿監督の初期作品です。見はじめてしばらくすると「おや、あの有名作品に通じるところが…つーか、もう、あの人気アニメ映画の前身作品かなぁ。あれに限らず、宮崎作品の世界設定に同調してるんだなぁ」と思ったりするのは致し方ないでしょう。各キャラ、舞台装置ともにラピュタの主要キャラと符号する部分があり、「あぁ、この役割の立ち位置が女性に変わり、さらに魅力的な姐御肌になったのかなぁ」と連想されるところもありますが、この作品そのものに充ちた豊かな物語性は終始見るものを惹き付けます。
映画よりずーっと長い時間をかけて描かれる作品で、主人公は文明崩壊後の世界で未知のエネルギーを巡り暗躍する支配階級と闘うこととなります。作中では彼が原始的といってもいいほど純粋な少年であることが存分に活写されています。
主人公・コナンの行動動機は、主に会ってまだ日の浅いヒロイン・ラナを救うこと、その自由を獲得し苦悩の元を断つことです。ラナが敵から逃れコナンの住む島に不時着した時から、二人は無邪気に野原を転がり理解しあいます。自然溢れる孤島でお爺さんと二人育ったコナンには、損得勘定がありません。ひたすらに、大切となった存在・ラナのためにその有り余る生命力、稀有な身体能力を発揮して無尽に駆け回ります。ラナもまた、真っすぐな好意で手を差し伸べるコナンに絶対の信頼を置いて頼り、自らも敵に堂々対峙する強さを見せます……。
コナンは無鉄砲とも思えるほどの行動力を発揮して困難を乗り越え、同時に彼らに協力する仲間も増えていきます。
作中の要は、太陽エネルギーの利用を取り巻く人間の業。その太陽エネルギーもまた実は、という真相解明でストーリーにキッチリとオチがつきます。
全体を通して、コナン&ラナ対その他の大人達という象徴的な構図に、どんな局面でも信頼し合う少年少女の誠実さが強い吸引力をもたらし、ハートを締め付ける物語だと思います。