あの数学教授が主役と言う切り口が新鮮に感じる
アーサー・コナン・ドイル氏が生み出した『シャーロック・ホームズ』シリーズに登場する切れ者教授「ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ」を主役にした本作品。
作画は『サイコパス』シリーズ第1期のコミカライズを担当した「三好輝」氏であることからも注目する人は少なくないだろう、実際にウィリアムの見た目や行動が『サイコパス』シリーズのキャラクター「槙島聖護」に通じるものがある。作画も丁寧で男性陣は凛々しく又は美青年、女性陣は麗しいか可愛げがあって華やかだがモリアーティのやっている事は(標的は殆ど擁護できない悪党ばかりであるが)犯罪なので真っ黒というギャップが引き立っているので面白い。その犯罪だが第1話だけでもウィリアムの頭脳明晰ぶりが光るから恐ろしさが見えてくる。ウィリアムの兄・アルバートの依頼で彼の家族を殺害するだが要約すると「メイドの火の不始末による不幸な火災」に見せかけた殺人。検死などを視野に入れた上で殺しはしないが適度に負傷させる、ろうそくに細工をして火事を起こす布石など抜け目がない。更に弟のルイスは火事に見舞われた不幸な子供の演出のために敢えて火傷を負うというのだから、肝っ玉が強い。
そのウィリアムが自身の目的のために英雄役に選んだ「シャーロック・ホームズ」だが不良探偵の一言に尽きる。パイプではなくシガレットふかしているすがたはどこか新鮮さを感じる。彼もまた切れ者であるがハドソン夫人には家賃の事で叱られ、兄への苦手意識の強さを隠さないなどコミカルな一面も何度か見せているので愉快(?)な人である。ワトソンに度々振り回されているものの、基本的に仲が良いので微笑ましい。